初の夜間避難訓練、課題は 浸水想定区域内に住民半数、青森県東通村・古野牛川地区 #知り続ける

雪が残る道を、人形を乗せた車いすを押しながら避難所へと向かう参加者=10日午前0時5分ごろ、東通村
村職員(右)と時間を確認する畑中村長。歩行器を押して避難所へ向かった=10日午前0時10分ごろ、東通村

 青森県東通村は10日未明、同村の古野牛川地区で夜間津波避難訓練を行った。畑中稔朗村長と村職員、東通消防署員の計15人が参加し、避難経路や避難に要した時間、冬季の夜間に災害が起こった際の課題などを確認した。

 同村が夜間に避難訓練を行うのは初めて。村によると、同地区は85世帯228人。漁業者が多く、住民の約半数は県が2021年5月に公表した津波浸水想定区域内に暮らしており、高齢世帯も沿岸部に多いという。

 訓練は、午前0時に最大震度7の地震が発生、3分後に大津波警報が発令された-という想定。参加者は浸水想定区域内の6地点から、指定避難所の集会施設「しおさいの館」まで徒歩や車で向かった。

 街灯はあるものの、場所によっては暗く足元が見えづらい中、参加者は、高齢者や子連れの避難を考慮して普段よりゆっくり歩き、浸水想定区域外に出るまでにかかった時間と、同館に到着するまでの時間を計った。歩行器や約60キロの人形を乗せた車いすも用意し、さまざまなパターンによる避難状況を確認。浸水想定区域外に出るまでにかかった時間は4~7分で、津波の影響が出始めるとされる警報発令から15分後以内だった。全体の時間は8~26分で、第1波到達が見込まれる警報発令から30分後以内に避難を完了できた。

 参加者からは「誘導灯があったが暗く感じた」「道路が凍結している状態の時に改めて検証が必要」といった感想が出た。

 畑中村長は「夜、早朝などさまざまな条件下でどのような行動パターンになるかを検証するため、他地区でもこういう形の訓練を行いデータを蓄積したい」と語った。

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