アスベスト被害で男性死亡 遺族と国の和解成立 原告に謝罪、請求通り全額支払い 神戸地裁

神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 建築現場で電気工事に従事し、アスベスト(石綿)による中皮腫で死亡した兵庫県内の男性=当時(78)=の義姉ら3人が、国の給付金の支給対象を本人や一部の親族に限るのは不当として、国に1430万円の損害賠償を求めた神戸地裁の訴訟は11日、国が原告らに謝罪して請求通りに全額を支払う内容で和解が成立した。

 原告側代理人や訴状によると、2021年に最高裁が建設アスベスト訴訟で国の責任を認めた判決などを踏まえ、国は石綿の健康被害を受けた建設労働者らへの給付金制度を設けた。

 しかし、給付金を請求できるのは本人や配偶者、子、両親、兄弟姉妹、孫、祖父母に限られていた。亡くなった男性は19年に中皮腫を発症し、20年に死亡。22年に男性の兄が給付を申請したが受給前に亡くなり、国は手続きを無効と判断していた。

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