「心の復興は終わることはありません」楽天、ベガルタ、89ERS、いわきFC、モンテディオ、グルージャ、ブラウブリッツ… “3.11”に決意新た「大震災を経験したクラブだからこそ」

2011年3月11日から13年。東北や関東のさまざまなプロスポーツチームが、東日本大震災の犠牲者に黙とうを捧げ、被災者を見舞い、そしてさらなる飛躍を誓っている。

プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスは、「“がんばろう東北”をスローガンに掲げ、東日本大震災による災害の記憶や教訓を風化させることなく、未来へ、次世代へと着実につなげていくため、さまざまな活動を続けています。東北に寄り添い、多くの皆さまに笑顔と感動を届けるとともに希望の光となることができるよう、真摯に取り組みを続けてまいります」と表明した。

Jリーグのベガルタ仙台はチーム・スタッフ全員で黙祷し、当時を知る梁勇基クラブコーディネーターと富田晋伍クラブコミュニケーターが市内の献花場で献花。梁C.Dは、「本当に忘れられない、忘れてはいけない出来事だと再認識した。このクラブで戦う以上は、いろんなものを背負って戦うと伝えていきたい」と語り、富田C.Cは「自分たちが被災地のクラブとして戦っていく以上、大事な一日だと思う。当時はサッカーができる状況が当たり前ではない中で、サッカーをさせてもらっていた」と振り返った。
バスケットボール・Bリーグの仙台89ERSは、11日に震災遺構の仙台市立荒浜小学校を見学。震災を経験した志村雄彦社長が当時の様子、チームが存在する役割や意義をあらためて選手に伝えた。志村社長は「多くの悲しみと深い痛みの中、13年間かけてまちは手を取り合い思いやりの心を持ち、前に進み続け、未来に向かって歩んできた。これまでの歩みに感謝の気持ちを込め、皆様と一緒に明るい未来を目指す」と表明している。

宮城県沿岸部の多賀城市や七ヶ浜町を拠点に活動するJFLのソニー仙台FCは、「当時、全国各地から本当に多くのご支援をいただき、ソニー仙台FCは今も活動することが出来ています。私たちは感謝の気持ちを忘れることなく、これからも全力で戦ってまいります」とXに投稿した。

最大14.8メートルの津波が襲い、町の住宅の約9割にあたる約3900棟が被害を受けた宮城県の沿岸部、女川町を本拠地とするコバルトーレ女川は、「仲間と一緒にサッカーが出来ること、サッカーをきっかけに女川に集えたこと、チームを支えた歴代選手・スタッフとライバルの東北チームにリスペクト。女川へ全国のサッカーファミリーやサポーターに訪れてもらえるよう“感謝の思い”を強く持ってJFL昇格を目指します」と発信している。

また、バレーボール・Vリーグ女子のリガーレ仙台は、「3.11、東北を元気に。皆さんのこれからが昇華しますように」と綴り、日本フットサルリーグのヴォスクオーレ仙台は、「震災の被害を風化させないためにも、今なおピッチに立たせていただいている事に感謝し、観ていただいている方たちに勇気を与えるプレーを、そして勝利を届けるために最後のブザーが鳴るその時までチーム一丸となり全力で戦います」と表明した。
Jリーグ・いわきFCの大倉智社長は、「このクラブは、東日本大震災がなければ設立されていません。つまり、ここで働くことも、皆と出会うこともなかったわけです。それぞれが、それぞれの想いを黙祷に捧げてください」とメッセージ。「私たちはスポーツの力を信じて、謙虚に貪欲に邁進してまいります」と決意を新たにした。

Jリーグの福島ユナイテッドは、「決して忘れることができない特別な日。今日に至るまで、尊い命を失われた方々のご冥福をお祈りし、謹んで哀悼の誠をささげます。選手、スタッフ一同、福島でサッカーができる喜びと日ごろの感謝の気持ちを忘れず、地元のみなさまに寄り添いながら、これからも活動を続けてまいります。大震災を経験したクラブだからこそできることがあると信じて」と声明を発表した。

Bリーグの福島ファイヤーボンズ、Jリーグ・モンテディオ山形は選手・スタッフが黙祷を捧げる姿を追悼文とともにXに投稿。パスラボ山形ワイヴァンズは、「忘れられない日、忘れてはいけない日から13年。多くの被災された皆さまへ心よりお見舞い申し上げます」とポストした。Jリーグ・グルージャ盛岡の秋田豊社長は、「現在でも岩手県では1000人以上の方の行方がわかっておらず、今も悲しみに暮れている方がいらっしゃるかと思います。それでも、復興への道を一歩一歩進んでいる東北地方・岩手県を、サッカーを通じて更に盛り上げていくことが我々の使命だと思います」と力強く表明した。
Bリーグ・岩手ビッグブルズの水野哲志社長は、「ハード面の復興は着実に進んでいますが、心の復興は終わることはありません。寄り添えるクラブになれるように、岩手に最高の笑顔の花が咲きますように」と思いを馳せた。また、ラグビーリーグワンの日本製鉄釜石シーウェイブスは、「震災により亡くなった多くの尊い命に追悼の意を表し、震災の教訓を伝承するとともに、これまでの復興に向けた歩みの中で得られた多くの絆を大切にし、一人ひとりの大切な人に想いを寄せ、ふるさと釜石、ふるさと岩手、ふるさと東北で生きていきます」とコメントを発表している。

Jリーグのブラウブリッツ秋田は、「ホーム開幕戦(3月16日)は、折しもベガルタ仙台を迎えます。同じ東北のチーム同士、他5チームとも東北を盛り上げられるよう切磋琢磨してまいります。引き続き、スポーツを通じた街づくり・夢づくり・人づくりという理念のもと、今後も東北の地に根付くクラブとして地域の希望となれるよう、活動を続けて参ります」と表明。Bリーグ・秋田ノーザンハピネッツは、「スポーツが与えてくれる喜びや感動、熱くこみ上げる気持ちや悔しさは、私たちの生きるエネルギーになるはずです。その機会を多くのみなさまにご提供できるよう、今後もクラブ一同全力で活動してまいります」とXにポストした。

Jリーグのヴァンラーレ八戸は選手の黙祷写真とともに、「今、この地でサッカーができることに感謝を」とXに記載し、JFLのラインメール青森は「サッカーができることに感謝を忘れず、昇格に向けて、クラブ一同精進いたします」、Bリーグ・青森ワッツは「バスケットボールを通して東北を盛り上げていければと思います」と投稿した。

さらにJリーグの鹿島アントラーズも「あの日を忘れずに、そして、能登半島地震への思いも胸に。フットボールがある日常と幸せをかみしめ、これからもともに歩んでいきましょう」と表明し、Jリーグ・水戸ホーリーホックは「被災地のクラブとして、当たり前の日常への感謝の想いを心に刻み過ごしていきます」と決意を表している。

構成●THE DIGEST編集部

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