予選は好走もレースで苛立ち…サウジGPの角田裕毅に評価は分かれる「辛い週末」「同情の余地がある」「乱雑さと不運」

2024年F1第2戦のサウジアラビア・グランプリで、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は9番グリッドという好位置からスタートし、ポイント獲得が期待されたものの、14位でレースを終えることになり、さらにレコノサンスラップでのアンセーフリリースによるペナルティーで15位に降格となった。

序盤にセーフティーカーが出動する混沌のレースで、ハースのケビン・マグヌッセンにコース外から抜かれるも、(マグヌッセンには10秒ペナルティーが科せられたが)ポジションは回復されず、さらに後に抜き返そうとしてコース外に押し出されたことでさらに順位を落とすなど、終始フラストレーションの溜まる展開となってしまった。

一方で、予選では目標としていたQ3進出を果たし、いずれのラウンドでもチームメイトのダニエル・リカルドを上回るタイムを計測するなど、その力を示すことに成功した日本人ドライバーに対して、各国メディアの評価は分かれている。

英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は10点満点の採点で及第点に満たない「5」を与え、「マグヌッセンとの接戦で冷静さを保ったが、自身のレースが全く有用性を持たない状況になるまで、デンマーク人の後ろに取り残された多くのドライバーのひとりだった。9番グリッドからスタートしたが、14位フィニッシュで、さらにレース後にペナルティーが適用され、15位に落ちた」と、ネガティブにレースを振り返った。

対して、「7」の高採点とした同じ英国のモータースポーツ専門サイト『CRASH』は「7」は、「予選では素晴らしい走りを見せ、チームメイトのダニエル・リカルドを0.5秒も上回り、Q3にも進出した。しかし、レースではマグヌッセンに違法なオーバーテイクを仕掛けられ、その後は彼を抜き返すことができなかった」と綴り、「辛い週末になった」と総括している。

『RACE FANS』は、「角田は金曜日、誇りにすることができる1日を過ごした。予選の全ラウンドでトップ10入りし、余裕をもってチームメイトを上回り、9番グリッドを獲得。しかし土曜日には調子を落とし、マグヌッセンが作ったトラフィックで多くの順位を失った。もし、ハースの前に出られれば、彼のレースは変わったかもしれない。レコノサンスラップでの一件がペナルティーポイントとならなかったのは幸運だった。少なくとも、週末を通してリカルドより速かった」と評価するも、採点は「5」止まりだった。

同採点とした『TOTAL MOTORSPORT』は、「マグヌッセンとの興味深いバトルは見ていて楽しいものだったが、日本人ドライバーは2戦連続で順位を落とした後、レース技術を完成させるためには、まだやるべきことが残っていることを示した」と、さらなる向上と改善が必要であることを示している。
スペインのF1『F1i.com』は「6.5」と高めの採点で、「今週末の角田には同情の余地がある。予選は十分に印象的で、最終ラウンドに進出し、9番グリッドを獲得。残念ながらその後、彼のレースはハースの戦術によって台無しになった。角田はマグヌッセンを抜こうと必死だったが、デンマーク人ドライバーはそれを許さず、角田にできることはほとんどなく、トラフィックの中に取り残されるしかなかった。レース後には、傷を広げるように、ペナルティーによってさらに順位を落とすこととなった」と寸評を綴った。
スポーツ専門サイトの『sportskeeda』は、「レースの大半でマグヌッセンとのドッグファイトに巻き込まれた角田はレース後、疲れ切り、失望しているようだった。日本人ドライバーは今季、チームメイトとの比較で自身の力を証明したものの、ポイント獲得が欠けていることが彼を苦しめている」として、こちらも採点は「6.5」を付与している。

最後に、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、今回も採点ではなくランキング形式を採用しており、角田は実際の順位を上回る「11位」にランクイン。「角田は再びRBの先頭に立ち、予選ではリカルドを余裕で上回り、急遽出場となったオリー・ベアマン(フェラーリ)だけでなく、より速い車に乗るはずのルイス・ハミルトン(メルセデス)をも打ち負かし、Q3進出を果たした」と、予選のパフォーマンスを称賛した同メディアは、以下のように続けた。

「レースはフラストレーションを覚えるものとなったが、マグヌッセンがコース外からの違法なオーバーテイクで角田の前に出なかったら、全く異なる結果になっていたかもしれない。速かったが、レースは乱雑さと不運の組み合わせだった」

構成●THE DIGEST編集部

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