モディ政権が総選挙控え市民権改正法を施行、イスラム教徒は反発

YP Rajesh

[ニューデリー 11日 ロイター] - インドでヒンズー教至上主義を掲げる与党・人民党(BJP)のモディ政権は11日、市民権改正法(CAA)の施行を発表した。

インド政府は施行の意義として、イスラム教徒が多数派のアフガニスタンやパキスタンなどで迫害を受けてインドに逃れた人たちにとって「市民権を獲得する道」(首相官邸)と強調。インド以外に避難場所がない人が適用対象になると説明している。

ただ、市民権が認められるのはヒンドゥー教徒とパーリ教徒、シーク教徒、仏教徒、ジャイナ教徒、キリスト教徒で、イスラム教徒は含まれないため、国内のイスラム教徒を差別する法律だとして改めて批判が吹き出した。一部の国境州では政府が書類なしにイスラム教徒の市民権を剥奪するのではないかとの懸念も出ている。

モディ政権は以前も施行を試みたものの、ニューデリーなど各地で抗議活動や宗派間衝突が発生。これを受け、モディ政権は2019年12月の同法制定後も同法を施行しなかった。

今回の施行決定に最大野党の国民会議派も猛反発している。総選挙が5月までに実施されることから「選挙直前というタイミング(の同法施行)は明らかに選挙の二極化が狙い。特に西ベンガル州とアッサム州だ」と述べた。

西ベンガル州とアッサム州にはイスラム教徒が多く住む。隣国バングラデシュからの不法移民と認定されてインド国籍を剥奪されるのに悪用されると懸念も広がり、抗議活動が起きている。

ケララ州で多数派のインド共産党は12日、同法は国民を分断するなどとして州全体での抗議活動を呼びかけた。

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