人襲った四国犬の飼い主夫婦を書類送検 「体に悪いと思い」予防注射受けさせず 群馬

 群馬県伊勢崎市田中島町の公園などで2月、小学生らが四国犬に襲われた事件で、伊勢崎署は11日、過失傷害と狂犬病予防法違反などの疑いで、飼い主で同市の会社役員男性(62)と、過失傷害と県動物愛護条例(係留義務)違反の疑いで、犬の管理を任されていた男性の妻(57)を前橋地検に書類送検した。同署によると、男性は予防注射を受けさせなかった理由について「犬の体に悪いと思って注射を受けさせなかった」と説明している。

 2人の書類送検容疑は、自宅で飼っていた四国犬7頭が逃げ出さないように注意を払う義務があるにもかかわらず、 庭で放し飼いにし、2月7日午後、逃げ出した1頭が同市の西部中央公園などで休んでいた男女7人にかみつくなどして、男性1人に全治1カ月の重傷を負わせたなどした疑い。

 男性は一部の犬の登録を市に申請せず、昨年4~6月までの間に7頭に狂犬病の予防注射を受けさせていなかった疑いが、妻は昨年12月13日午後、同公園で散歩中に制御できなくなった犬1頭が女性の左足にかみつくなどして軽傷を負わせた疑いが、それぞれ持たれている。

 同署によると、2人は容疑を認め、男性は「庭に犬をつなぐ鎖はなく、フェンスを越えて逃げたと思う」と、妻は昨年12月の負傷事案について「リードを持つ手がゆるんでしまった」とそれぞれ話している。

 市教委によると、被害に遭った小学生は宮郷小と宮郷第二小の児童で、負傷により50針を縫い、一時期車いすで登校していた男児もいたという。現在は全員が通常通り登校している。児童のケアのため、両校には臨床心理士が5回にわたり派遣された。市によると、2月に襲った四国犬の狂犬病の検査結果は陰性だった。飼い主の男性は11日までに、襲った犬を含む7頭を県外に譲渡した。関係者によると、2月に襲われて死んだトイプードルについては、故意性がないため立件しないという。

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