チップ・ガナッシ・レーシングとキャデラックが提携終了へ。WEC/IMSA最高峰にワークス参戦中

 チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)とキャデラックが、それぞれのトップカテゴリーに参戦しているWEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2024年シーズン終了をもって、パートナーシップを解消することが明らかになった。

 2021年に北米のIMSAウェザーテック選手権DPiクラスで始まったこの提携は、昨年LMDh時代への突入とももに拡張され、WECと北米シリーズの両方でCGRが運営するキャデラックVシリーズ.Rのファクトリーカーが走り出した。

 セバスチャン・ブルデーとレンガー・バン・デル・ザンデは01号車キャデラックを駆ってウェザーテック選手権で1勝を挙げ、同じくファクトリーカーを走らせるアクション・エクスプレス・レーシング(AXR/31号車)はピポ・デラーニとアレクサンダー・シムズを擁してGTPチャンピオンシップの初代王者に輝いた。

 一方、ドイツでスティーブン・ミタスが率いるCGRのWECプログラムは、まだ世界選手権で勝利を挙げられていない。

 ゲイリー・ネルソン率いるAXRは、CGRがキャデラック・レーシングから離脱することを受け、来年は2台体制でウェザーテック選手権に参戦するとうわさされている。その一方でCGRのマネージングディレクターであるマイク・ハルが過去2年間、両シリーズで推進してきたフルシーズンキャンペーンのひとつであるWECプログラムには、多くのチームが競合していると理解されている。

WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦している2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)は、チップ・ガナッシ・レーシングによって運営されている

 GM(ゼネラルモーターズ)のスポーツカー・レーシング・プログラム・マネージャーであるローラ・ウォントロップ・クラウザーは今月初め、カタールで行われたSportscar365の取材に対し、キャデラックがカスタマーカーを供給する可能性を否定した。同地で開催されたWEC開幕戦では、CGRが運営する2号車キャデラックが総合4位入賞を果たした。

 Sportscar365は、CGRがキャデラックと2022年から3年間の契約を結んでおり、北米のラグジュアリーカーブランドによって契約が延長されていないことを理解している。

 CGRはまた、GMが支援する“ハマー・プロジェクト”にて、昨季限りで終了したエクストリームEキャンペーンを運営していた。この最初の契約は、キャデラックのスポーツカー・レース・プログラムとパッケージ化されていたものと考えられる。

■以前のパートナーであるフォードの動きは

 CGRの広報担当者はSportscar365に対し、キャデラックLMDhプログラムを終了することについて、現時点ではチームとしての声明は出していないと述べた。

 一方のキャデラックは、GMのパフォーマンス・モータースポーツ担当アメリカ副社長であるジム・キャンベルから次のような声明を発表した。

「当社のGM部門は、NASCAR、インディカー、エクストリームE、IMSA、FIA WECといった複数のシリーズにおいて、チップ・ガナッシ・レーシングとのパートナーシップを長年にわたって成功させてきた。私たちはともに数多くのレースに勝利し、大きな成功を収めてきた」

「我々は今年もIMSAとFIA WECでともにレースとチャンピオンを獲得することにコミットしている」

「2025年のスポーツカー計画については、後日発表する予定だ」

 CGRは、キャデラックのワークスプログラムを展開する以前は自社でウェザーテック選手権に参戦。2016年から19年にかけてはマルチマチックを介してWECに参戦し、2016年ル・マン24時間レースでのLM-GTEプロクラス優勝で脚光を浴びたフォードGTのファクトリープログラムを運営していた。

 フォード・パフォーマンスのグローバル・モータースポーツ・ディレクターであるマーク・ラッシュブルックは今年1月、Sportscar365に対し、フォードのプロトタイプ・プログラムは将来的に「適切な時期に適切な場所」で「適合する可能性がある」と語ったが、本格的な評価を確認するには至らなかった。

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