世界の企業配当総額、昨年は過去最高に 増加の半分は銀行部門

Lucy Raitano

[ロンドン 13日 ロイター] - 英資産運用会社ジャナス・ヘンダーソンが13日公表した報告書によると、2023年に世界全体で企業が支払った配当額は過去最高の1兆6600億ドルに上った。22年からの増加の半分を銀行部門が占めた。

報告書では、世界中の上場企業の86%が配当を増やしたか、支払額を維持したことも分かった。今年の配当総額はさらに増加し、1兆7200億ドルに達する見込みという。

個別企業で配当額首位となったのはマイクロソフト、以下アップル、エクソンモービルと続いた。

為替変動の影響や特別配当なども加味した基調的な配当総額の伸び率は5%。

ジャナス・ヘンダーソンのグローバル株式収入責任者ベン・ロフトハウス氏は「大半のセクターで企業のキャッシュフローは力強さを維持し、これが配当や自社株買いを大規模に行う原動力になった」と指摘した。

銀行部門は高金利に伴う利益率上昇のおかげで、配当額は過去最高の2200億ドルを記録。基調的な伸び率は15%で、配当支払を停止していた新型コロナウイルスのパンデミック期からの回復基調が続いている。

一方、コモディティー価格低下で収益が圧迫された鉱業部門は配当減額を強いられた。

減額幅が特に大きかった個別企業5社には、インテルやAT&T、ペトロブラスとともに鉱業のBHPとリオ・ティントも名を連ねている。

それでも報告書は、影響度が異例の大きさとなった銀行と鉱業以外に目を向けると、自動車や公益、ソフトウエア、食品、エンジニアリングなどさまざまな業界で心強い配当の伸びが見られたと説明した。

地域別では英国を除く欧州企業の配当額が基調的に10.4%増えて全体をけん引する役目を果たした。日本企業も総額押し上げに貢献したものの、円安によってその効果が一部減殺された。

米国企業は配当額の増加規模自体には最も寄与したが、基調的な伸び率は5.1%と世界全体と変わらなかった。

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