【ソロ活】ひとりの寂しさや孤独を感じたときはどうすればいい?|中道あんさん、石原加受子さんがアドバイス

「ソロ活に挑戦」「ひとりの時間を充実させたい」と思っても、いざとなると何をしていいかわからない……という声を聞きます。誰もがはじめから「ひとり上手」なわけではありません。そこでおひとりさまの達人と、心理カウンセラーにそれぞれの視点からアドバイスをいただきました。

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PROFILE
著述家 中道あんさん

なかみち・あん●1963年大阪府生まれ。
「アラフィフの生き方ブログ 50代を丁寧に生きる、あんさん流」主宰。
26歳で結婚し2男1女を授かり、結婚22年で夫と別居。10年前、ブログを始め大ブレイク。
著書に『ビバ!還暦 60歳海外ひとり旅はじめました』(3月22日発売予定 主婦の友社)など。

PROFILE
心理カウンセラー 石原加受子さん

いしはら・かずこ●「自分中心心理学」を提唱する、心理相談研究所オールイズワン代表。思考・感情・五感・イメージ・呼吸・声などをトータルにとらえた独自の心理学、問題解決法でカウンセリングなどを行う。
『誰にも言えない「さみしさ」がすっきり消える本』(SBクリエイティブ)など著書多数。

【相談①】ひとりで飲食店に入って楽しむコツは?

ひとりでレストランに入ることを躊躇してしまいます。手もちぶさただし、人の目も気になって……。自意識過剰かもしれないけれど、ひとりで行動していて「友達がいない」と思われるのも不本意です。ひとりで飲食店に入って楽しむコツはありますか。

【中道さんのアドバイス】人の目が気になる? 大丈夫、誰も見ていません。遠慮なくガッツリ食べましょう

人の目が気になるようですが、大丈夫です。誰もあなたのことは気にしていません。あなたが友達と食事しているときに、ひとり客のことなど気にしないのと同じです。

おひとりさまでの食事は、ランチから始めてみては。夜はグループ客中心の店も、昼はひとり客が多いものです。混み合う時間帯を避け、開店直後かランチタイム終了間際を狙いましょう。

手もちぶさたの解消に、本やスマホを持参する人は多いですよね。でも私は自然に聞こえてくる周囲の会話に「それ、ちゃうやろ!」などと、心でツッコミを入れたりして楽しんでいます。

私のお店選びの基準は、ひとりで落ち着ける席があること。友達とお店に行ったときは周囲を見て、ひとりでも落ち着けそうな席があるかチェックしておきます。初めての店なら、事前にネットで調べて店内写真を確認するのもいいですね。

ひとり客はカウンターに案内されることがありますが、私は落ち着かなくて苦手。遠慮なく「この席でいいですか?」って聞くようにしています。

ひとりご飯の何がいいかって、何の遠慮もなく自分の食べたいものが食べられること。この前有名な親子丼の店にひとりで行ったのですが、盛りがとても上品。「足りんなぁ」と思ったので、迷わず素うどんを追加しました。友達がいたら、さすがの私でも恥ずかしくてできません。でも、ひとりなら平気なのです。

【石原さんのアドバイス】一つの店で居場所をつくり、人の目より料理に心を向けるレッスンをしましょう

「ひとりの食事なんて寂しい」「家族も友達もいないのかしら」、そんなふうに思っているのは誰ですか? それはあなたの心です。頭の中の勝手なささやき声です。

「人にどう思われるか」を気にしてきた人は、どうしても他者目線で考え、頭の中でのシミュレーションをやめられないものです。視点を変えるためには、まず行動すること。

最初は勇気がいりますが、同じ店に10回も20回も行き続ければ平気になるものです。これもトレーニングです。回数を重ねることで自分の心にどんな変化が起きるか、楽しみにしながら挑戦してみては。

実際にお店に入ると、ひとり客が多いことに気づくと思います。老若男女関係なく、本を読んだり、スマホを見たり、パソコンを広げたりしながら食べたいものを食べていますし、お店側もひとり客に居心地のいい空間を用意しています。いい時代になりました。

周囲の目が気にならなくなると、次第に心が料理に向くようになります。純粋に「今日は何を食べよう」「この料理はどうやって作るんだろう」などと考えるようになれば、しめたもの。他者目線から自分目線に移った証拠です。自分目線で生きることの自由さを味わってみてください。

人は誰かに評価されることよりも、自分で自分を認められるほうが、喜びの質が高いのです。まずは一つの店に通い、安心感を育ててみては。

【相談②】ひとりの寂しさや孤独を感じたときは?

ひとりで過ごす夜の時間などに、寂しくて孤独感に襲われるときがあります。今は家族がいても、いつかはひとりになるかもしれない……と思うと不安になって。寂しさや孤独を感じたとき、どうしたら気持ちを前向きにもっていけるのでしょうか。

【中道さんのアドバイス】孤独は感性を研ぎ澄ますクリエイティブな時間。不安になったら動きましょう

寂しさや孤独に襲われることって、誰にでもありますよね。そんなとき私は、孤独をとことん味わうようにしています。「ああ、私って今孤独を感じているんだ。何でだろう」って、自分と向き合う時間にします。そして孤独を実感し尽くしたら、どうやって孤独を楽しめるかに気持ちを切り替えるようにします。

孤独って感性を研ぎ澄ましてくれる存在ですから、孤独な時間はクリエイティブな作業にあてるのがいいと思います。読書や手仕事もいいですし、絵や文章をかくのもおすすめ。

私はひとりの時間にSNSの発信をしていますが、文章を書くようになってから考えを整理するのがうまくなりました。恥ずかしながら40歳まで読書には無縁でした。文章を書くようになって、読書の面白みがわかってきました。

相談には「いつかはひとりになるかも」という不安に襲われるとあります。なぜひとりがそんなに怖いのでしょう。「孤独死するのはいやだ」など、具体的な言葉にしてみましょう。不安って、96%は現実にならないといわれています。だから今不安に思っていることは、ほぼ起こらないってことなんです。

不安になったら「今」に集中するのが一番です。「今日はこれをやる」「明日はここに行く」と、今日と明日の2日分のことを考えましょう。そして体を動かせば、不安は不思議と消えてしまうものです。

【石原さんのアドバイス】孤独のよさもある。それでも寂しさに負ける夜は、わんわん泣いていいのです

マチュア世代の人たちは、「ひとりは寂しい」「孤独は不安」という価値観を若い頃に植えつけられているのかもしれません。だから孤独のネガティブな部分ばかり見て、寂しくなってしまうのだと思います。

でもね、寂しさや人恋しさが募ると、病気をしやすくなってしまいます。寂しいと誰かにかまってほしくなるでしょう? 病気になればてっとり早く優しくしてもらえるから、無意識のうちに病気を引き寄せてしまうんです。でもそれでは楽しくありませんよね。

逆に、孤独を楽しもうと思えばいろいろなことができます。ひとりの食事は寂しいかもしれないけれど、好きなものをゆっくり味わうことができるでしょう。一杯のお茶を丁寧に淹れて「ああ、おいしい」と感じることもできます。人の世話をする必要がないからラクですし、誰かに何か指図されることもありません。とても自由です。

それでも、たまらなく寂しい夜はあるものです。そんなときは泣きましょう。わんわんと声を出して、思う存分泣きましょう。「寂しいなんて思っちゃダメ」とか「もっと強くならなくちゃ」と、寂しさを否定するのではなく、「寂しいなぁ。本当に寂しいなぁ」と泣いていいのです。

人間は、ポジティブに向かう強さをもっています。どんなに大きな寂しさにのみ込まれてしまっても、人は必ず立ち直れると信じてください。

※この記事は「ゆうゆう」2024年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

取材・文/神 素子


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