往年の銀幕スター似顔絵100点 82歳佐藤和子さん、青春時代の作品で初個展 青森・弘前市

最も気に入っている作品、女優エバ・ガードナーの似顔絵を手にする佐藤さん
日本人のスターを描いた作品
銀幕を彩った男優たちの似顔絵
佐藤さんが家族を描いた作品や自画像

 ニコッとほほ笑むオードリー・ヘプバーン、すまし顔のビビアン・リー…。青森県弘前市の佐藤和子さん(82)が同市の宮川交流センターで初の個展「似顔絵コレクション展」を開いている。往年の銀幕スターを中心にリアルな似顔絵など約100点が並ぶ。そのほとんどは中学生から高校生時代のもの。佐藤さんは「60年以上前の青春時代に描いた絵が日の目を見るとは」と感激していた。

 佐藤さんは趣味で絵を描いていた。似顔絵は昨年引っ越しをした際に自宅で見つかった。若い頃描いていた懐かしさがこみ上げ、夫の発案で個展を開くことに。会場に整然と並べられた自分の作品を見た佐藤さんは「こんなにきれいに飾られて…」と感動した。

 中学生の頃から洋画が大好きだった。両親も好きだったこともあり、月に何度も映画館へ足を運んだ。「まだ家庭にテレビがない時代。食い入るように毎回見た。役者さんたちの顔が好きで、自然と似顔絵を描くようになった」という。

 映画雑誌の写真を参考に毎日夜遅くまで描いた。使うのは2Bの鉛筆。佐藤さんは「元々きれいなものが好きなので、女優さんの顔を中心に描いていた。大きな目、高い鼻は憧れだった」「ヘプバーンのように顔の個性が強い人や、彫りの深い人はとても描きやすいの」と笑う。展示している作品の7割以上が女優や女性モデルだ。

 男優はジェームス・ディーンやハンフリー・ボガートなど。ほかに若い頃の長嶋茂雄さんや石原裕次郎さんなど日本の有名人や、家族を描いた作品も。

 高校3年生の時、絵のうまさに目をつけた美術教諭が美術学校への進学を勧めた。しかし佐藤さんは家庭の事情で断念した。

 20代で結婚してからは水彩画も本格的に始めた。ハワイなど旅行先の色鮮やかな絵も8点展示している。佐藤さんは年齢のため現在は絵から遠ざかっているが、「人に見てもらえて感想を聞かせてもらって、個展を開いてみて良かった」と目を輝かせた。

 開催は17日まで。時間は午前9時~午後5時。入場無料。

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