鹿児島県は14日、鹿児島市喜入生見町でサツマイモの特殊病害虫イモゾウムシを確認したと発表した。県本土では2008年に指宿市で初めて確認されて以来約16年ぶり。門司植物防疫所は「発見したらすぐに連絡をしてほしい」と呼びかける。
県などによると、家庭菜園でサツマイモを自宅保管していた住民が「虫が付いている」と11日に近くの農協に連絡。自治体を経由して、同防疫所が現物を調査し、12日にイモゾウムシの幼虫やさなぎ、成虫を複数確認した。侵入経路や範囲は不明。
同防疫所は14日、一帯の植物への寄生がないか調べるため、確認地点から半径500メートル内にあるヒルガオ科の植物などを採取した。寄主植物のない地点にはサツマイモのトラップを50カ所設置する。ともに2週間ごとに調査を実施し、最終発見日を起点に原則1年間続ける。
イモゾウムシは同じ特殊病害虫のアリモドキゾウムシと比べて、誘引剤を使ったトラップ(わな)がなく、防除に時間がかかるとされる。
08年に確認された時は、同時期にアリモドキゾウムシが発生していたため、09年に指宿市内の927ヘクタールが植物防疫法に基づく防除区域に指定された。被害品目の栽培や移動が禁止され、12年に根絶を確認した。
今後の発生状況次第では、国や県、自治体が協議して防除区域指定する可能性もある。
■イモゾウムシ 植物防疫法で定められた特殊病害虫の一つ。国内の生息域は奄美大島以南や小笠原諸島。体長約3、4ミリで、生育に適した温度は27度とされる。サツマイモなどヒルガオ科の植物に寄生し、主に幼虫が実やツルを食害する。サツマイモが被害を受けると、苦みと異臭が出て、食用にも飼料用にも使えなくなる。