イスラエル現政権「和平の妨げ」、選挙実施を=米民主上院トップ

Patricia Zengerle

[ワシントン 14日 ロイター] - 米上院民主党トップのシューマー院内総務は14日、イスラエルのネタニヤフ首相が和平の妨げになっていると厳しく批判し、イスラエルは新たな選挙を実施する必要があるとの考えを示した。

シューマー氏は議会上院で行った演説で、昨年10月7日のイスラム組織ハマスの奇襲攻撃後のイスラエルで、ネタニヤフ政権は「イスラエルの二ーズにもはやそぐわない」と指摘。「ネタニヤフ首相が率いる現在の政権が戦争終結後も存続し、米国の既存の援助基準を試すような危険で扇動的な政策を取り続ける場合、米国は方向性を変えるためのレバレッジを利用することで、イスラエルの政策形成に積極的な役割を果たすしかない」と述べた。

その上で「民主主義国家としてイスラエルには指導者を選ぶ権利がある。重要なのはイスラエル国民が選択肢を持つことだ。10月7日以降のイスラエルの将来について新たな議論が必要だ」と指摘。「自分自身の見解では、選挙を実施することによってこれを達成するのが最善となる」と述べた。

また、イスラエルと独立したパレスチナ国家が共存する「2国家共存」策をイスラエルがを拒否することは「重大な誤り」だとし、パレスチナ自治区ガザでの停戦の交渉担当者に対し、停戦の確保と人質の解放のほか、ガザ地区への人道支援実施に可能な限りの努力をするよう呼びかけた。

同時に、ハマスを支持するパレスチナ人らを非難したほか、パレスチナ自治政府のアッバス議長も退任する必要があると言及。「将来的な和平に向けた希望をつなぐために、アッバス氏は退任し、新しい世代のパレスチナ人指導者と交代しなければならない」と述べた。

シューマー氏はユダヤ系で、イスラエルの強力な支持者として知られる。

<ネタニヤフ首相率いる「リクード」が反論>

ネタニヤフ首相率いる政党「リクード」は声明で「シューマー氏の発言とは異なり、イスラエル国民はハマスに対する完全な勝利を支持している」と反論。「イスラエルの選挙で選ばれた政府を尊重し、それを弱体化させないことをシューマー氏に期待する」とした。

イスラエル首相報道官は、シューマー氏の発言に対し「現時点でコメントはない」としている。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、シューマー氏がホワイトハウスに演説について事前に報告していたとした上で、ホワイトハウスは不承認も承認もしていないとし、編集も一切行っていないと言及。記者団に対し「シューマー氏が発言をする権利を十分に尊重している。上院で何を発言するかはシューマー氏自身が決めることだ」と述べた。

また、米政府はイスラエルが戦争終了後に選挙を行うべきと考えているのかとの質問に対し「イスラエル次第だ」とした。

シューマー氏の演説を受け、上院共和党トップのマコネル院内総務は即座にネタニヤフ首相を擁護。「民主主義への外国の干渉に過敏に反応する米国人が、民主的に選ばれたイスラエルの指導者の解任を求めるのは偽善的だ」と述べた。

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