アマゾン下請けに抗議 長崎のフリーランス配達員スト 「窮状を伝え、運送業界を改善したかった」

 長崎県を拠点に通販大手アマゾンジャパンの商品を運ぶフリーランス(個人事業主)配達員の労働組合が14日、県庁で会見し、団体交渉に応じない1次下請け運送会社に抗議した8日のストライキについて「配達員の窮状を伝え、運送業界を改善したかった」と意図を改めて主張した。
 約20人によるスト中も、ほかの配達員が業務を継続したため県内で荷物の遅配はなかったが、東京ユニオンアマゾン配達員組合長崎支部の男性幹部は会見で「(配達先に)迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝。だが現在も1次下請けが団体交渉に応じる気配はなく、「少数では効果が薄い」とスト続行を断念したという。
 下請け会社間の契約解除に伴い失業の恐れがあるとして団体交渉を要求しているが、たとえ就業が継続されても「配達員は使い捨て。ボロ雑巾みたいな形で働かされるのが続くと思うと耐えられない」と職場環境の改善を訴えた。
 スト後、ニュース配信サイト「ヤフーニュース」のコメント欄に「他の仕事を探せばいい」という趣旨の投稿が相次いだのに対し、幹部は「それで済ませると何も変わらない。長崎が発端になって全国に飛び火して、運送業界の多重構造が変わってくれれば」と意義を強調。同席した50代の男性配達員も「下請けの配達員が理不尽に切られる業界に違和感がある。泣き寝入りの文化を改善したい」と話した。
 配達員は2次下請け(埼玉県川口市)と個別に契約。1次下請け(横浜市)が昨年12月、2次下請けとの業務委託契約を4月8日に打ちきると通告した。同労組によると、既に2次下請けは地位保全を求める仮処分を横浜地裁に申請。併せて1次下請けの関係会社を詐欺容疑で埼玉県警に告訴している。
 同労組は1次下請けによる不当労働行為の救済を東京都労働委員会に申し立てており、4月4日に審問が始まる予定。

© 株式会社長崎新聞社