福島県郡山市の女性が作る「みんなで囲めるおやつ」。このおやつが生まれた背景には、経験者だからこそ分かるやさしい思いが詰まっていました。
動物型のかわいいクッキーに、チョコレートやバナナのマフィン、そしてスノーボール。これらのおやつを作っているのは、郡山市にある「えほんとおやつ チャイルド&モア」の宗像里美さんです。3年前にオープンし、店内には、たくさんの絵本と焼き菓子が並んでいます。
店のコンセプトは、「みんなで同じおやつを囲むこと」。販売されているおやつは、三大アレルゲンと呼ばれる、卵、乳製品、小麦を一切使用していません。
宗像里美さん「アレルギーの子だけ別のものとか、普通の人はアレルギー用のものがあまりおいしくないから違うものを食べようということもあると思うが、そうではなくて、みんなで同じものを食べられたらいいなって」
きっかけは娘のアレルギー
宗像さんは、米粉やココナッツオイル、メープルシロップなどを使用し、「からだにやさしいおやつ」を手作りしています。チャイルド&モアでは、およそ20種類もの焼き菓子などが取り揃えられていて、アレルギーを持つ人だけでなく、グルテンフリーを気にする人など、県内外から多くの人が訪れています。
郡山市から来た親子「(アレルギーはないが)小麦粉とかアレルギーフリーの食材が扱われているということでちょっと興味を持って来ました」 伊達市から来た人「市販のおかしと比べて、味がやさしめなのですごい食べやすいなというイメージ」
このおやつが生まれた背景には、あるきっかけがありました。
宗像さんの娘、あおねちゃん(小1)は、幼少期から、卵と乳製品のアレルギーを持っています。
宗像里美さん「卵と乳製品だったので、食べられないものがたくさんあって、それまでアレルギーについてあまり考えたことがなかったので、結構何から何まで大変だった」
乳幼児の1割に食物アレルギー
国立成育医療研究センターによりますと、食物アレルギーとは、本来体に害を与えない食べ物を異物と勘違いし、免疫反応が過敏に働いてしまうことをいいます。厚生労働省の調査では、食物アレルギーがある人は、全国に1%から2%、乳幼児に限ると10%の割合でいると言われています。
いちかわクリニック・市川陽子医師「人によってさまざまですが、一般的には唇が腫れたり目がかゆくなったり、じんましんが出たりする」
重症化すると、呼吸しにくくなったり、意識がなくなったりすることもあるといいます。
もともとパティシエとして働いていた宗像さんは、あおねちゃんのために三大アレルゲンを含まないおやつを作るようになりました。これを機に、周囲にもアレルギーを持つ子がたくさんいることを知り「チャイルド&モア」を立ち上げました。
「みんなで同じものを」アイスやケーキも
この日のおやつは、豆乳で作られたチョコレートアイス。息子のねいとくんもあおねちゃんも、お母さんの作るおやつが大好きだと話します。
宗像さんは、アレルギー対応食アドバイザーという資格を取得。細心の注意を払っておやつを作っています。また、商品には、三大アレルゲンを使用していないオーダーホールケーキもあり、サイズやクリームの種類、フルーツなども選ぶことができます。アレルギーを持つ子どもの誕生日ケーキだけでなく、甘いものが苦手な大人にも人気があるといいます。(※10日前までに要予約)
郡山市から来た人「3人子どもがいて、長女が卵アレルギーなんですけど、下の子たちも一緒に食べられる。長女は本当に卵使っていないの不思議だねって言ってました」
「みんなで同じものを囲んで一緒に食べてほしい」。チャイルド&モアのおやつやケーキには、宗像さんのやさしい思いが詰まっています。
宗像里美さん「何でも食べられるわけではないので、お母さんの負担は結構あると思う。無理をしないで、アレルギーのある子どもも食べられるものと知ってもらって買っていただきたいなと思います」
みんなにやさしいおやつ。これからも多くの人を笑顔にしていきます。