友人の夫は、自分の考えを押し付けてくるワンマンタイプ。俺の言うことが正しいと主張してくるそうですが、予防接種をめぐる騒動で少し考え方がかわったそうです。何があったのか友人から話を聞きました。
中学受験を控える娘のために
私は小学6年の娘と夫の3人家族。娘は中学校受験を控えており、普段から手洗いうがいやマスク着用をして、病気にかからないように気を付けていました。
10月の授業参観で他の受験組のママ友さんと話した時に、予防接種の話題が出ました。「今年はインフルが大流行するってニュースも聞いたし、受験があるから絶対に予防接種をしたほうがいい」とみなさん話していました。
娘は今までラッキーなことにインフルエンザに罹ったことがなかったのですが、私もさすがに今年は予防接種を受けさせようと考えていたので、その夜帰宅した夫に相談しました。
予防接種は無駄だという夫
夫は、「予防接種なんか受けなくていい! あんなもの気休めにしかならないし金の無駄。手洗いうがいと気合で跳ね除ければ大丈夫! 俺はそれでこの40年一度もインフルエンザには罹ったことがないからな」と言い、いくら説得しても話になりませんでした。
というのも、夫はケチで予定にない出費をひどく嫌うところがあるんです。インフルエンザの予防接種は、自治体によっては助成金が出るところもありますが、基本的には実費です。さらに、子どもは2回接種となるため、金額が高くつくことを知ると、かたくなに根性論で押し通して聞き入れてくれませんでした。
もうなにを言っても無駄だと思った私は、自分のへそくりから費用を出して、娘と私だけこっそり予防接種を済ませました。
夫がインフルエンザに罹患
年明け、受験勉強も追い込みに入った頃、夫が熱を出したと早退してきました。病院に連れていくと40度近くあり、インフルエンザA型と判明。そのまま空き部屋に隔離し、食事はドア前に置いて、トイレやお風呂以外は部屋から出ることを一切禁止しました。
もともと夫は、微熱でも大袈裟に騒ぐタイプなので、しょっちゅう【つらい、頭が痛い、助けてくれ……】などスマホに連絡が来ましたが、【受験を控えてるのでごめんね。私も娘の世話があるから罹るわけにはいかないの】と最低限のお世話のみをしました。
翌週やっと復帰したと思ったら、また早退してきて今度はインフルエンザB型の罹患が判明。免疫が落ちているところにB型のウイルスが入ってきたのかもしれないというお医者さんの言葉に、夫はがっくりうなだれていました。
ようやく理解してくれた夫
「苦しい……助けて。なんでお前たちは無事なんだ」
という夫に、私と娘はわたしのへそくりで予防接種を受けたことを話し、予防接種の大切さを説明しました。
娘は志望校を一つに絞っていて、それがだめだったら諦めて地元の公立中学に進むと決めて必死に勉強を頑張っている。受験生が風邪をひいたり病気になってしまったら大変だし、予防策を講じてあげるのも親の役目。予防接種くらい安いものだと話すと、ようやくわかってくれたようで謝っていました。
それ以降、少しはこちらの考えも聞いてくれるようになりました。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kato Rira