CKで抜群の決定力。叩きつけるヘッドで5発。オランダで躍動する小川航基は森保Jでも結果を出せるか「得点を取れる自信はある。使ってほしい」【現地発】

現地3月17日、NECのエースストライカー小川航基は、ユトレヒトとのアウェーゲームを終えるとこう言った。

「デカいセンターバックを背負っても、身体を先にぶつけて先手を取れば、しっかり抑えることができます。そこがエールディビジで自分が身につけたことです」

小川いわく、日本には『賢いセンターバック』、オランダには『強いセンターバック』が多いという。ユトレヒト戦で小川をマークしたマイク・ファン・デル・ホールンは、190センチの巨躯が自慢の『強いセンターバック』だった。

そんな相手を背にしても、小川は背中と腰で敵の圧を殺して自分の間合いを作り、浮き球を足もとで受けてしまう。またファールをもらうのも非常にうまい。

小川はユトレヒト戦で4本のシュートを撃ったものの不発に終わり、チームは0-1で完封負けを喫したわけだが、「(センターバックを相手に)身体をぶつけるところは、今日もできていた」と、エールディビジのCBとのデュエルのコツをしっかり掴んだようだ。

小川はオランダリーグで8ゴール、KNVBカップで4ゴールを記録している。その内訳を見てみると、実に5ゴールがCKから決めたものだ。ユトレヒト戦終了後、小川に「コーナーキックのスペシャリストですね。今季、5本も決めてます」と尋ねると、「ホントですか!? そんなに決めているイメージがなかったんですけれどね」とちょっと驚いてから続けて言った。

「それも僕の一つの強みだと思います」

CKから決めた5ゴールのうち、4ゴールがヘディング弾によるもの。オープンプレーから入れたヘディングシュートを含めると、5ゴール全てがワンバウンドしてゴールラインを越したものだ。

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かつて『三菱ダイヤモンドサッカー』というサッカー番組で解説を務めた岡野俊一郎氏が「ヘディングシュートは地面に叩きつけるのがセオリー。ゴールキーパーが一番守りづらいヘディングシュートはワンバウンドしたボールなんです」と何度も言っていた。果たして、小川は「地面に叩きつけるヘッド」を意識しているのだろうか?

「あんまり(意識していない)。俺、あんまり、ふかすことがないですよね。感覚なのか、ふかさないように、まず枠に――というイメージでヘディングしている感じです。身についているんだと思います」

右足でも左足でも、頭でもシュートを撃ち、さらにミドルシュートという一発も持つことから、小川は横浜FC時代と同様、オランダでも「万能型ストライカー」と呼ばれている。

しかし、実はオランダでのゴールの半数近くがCKからのもの。大男たちがゴール前を固めるCKで、小川はバックステップを踏んでファーに消え、タイミング良くニアに走り出して相手を混乱に陥れる。そして、高く飛んでヘッドで地面に叩きつける。

「最近、僕が点を決めているということもあって、ボールが僕に集まってくるような印象はあります」

セットプレーの得点力不足に悩む森保ジャパンが、小川の“CK職人ぶり”を活かさぬ手はない。その練度を高めておけば、きっと役に立つ日が来るはずだ。

「得点を取れる自信はあります。だから使ってほしい」

そう言ってから小川はユトレヒトのスタジアムを後にした。

取材・文●中田 徹

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