ハバナ症候群、脳損傷のエビデンス無し=米国立衛生研究所

Deena Beasley

[18日 ロイター] - 世界各地の米外交官らが原因不明の体調不良に見舞われている「ハバナ症候群」について、米国立衛生研究所(NIH)は18日、該当者の脳が損傷していることを示す重要なエビデンス(根拠)は得られなかったとする調査結果を医学雑誌JAMAで公表した。

ハバナ症候群は耳鳴り、頭痛、偏頭痛、めまい、記憶力低下といった症状で、最初は2016年にキューバの首都ハバナの米大使館職員らから報告された。その後、世界各地の米外交官やスパイ、職員からも症例が届いた。

NIHは、症状に苦しむ連邦職員とその家族、合計86人のグループと、類似した職務に就く有志の健常者群とを比較調査した結果、大半の臨床尺度に差異は認められなかったとした。

NIHクリニカル・センターの首席科学責任者代行、レイトン・チャン氏は、「症状は実在しており、つらく、治療が非常に難しいものだ」と述べた。

ハバナ症候群に苦しむ人々を代表する弁護士は調査結果について、外国の敵対勢力がハバナ症候群に関与しているという説を揺るがすものではないと主張。NIH広報は、調査は何らかの外的現象が症候群の原因になったか否かを見極める目的で行ったものではなく、調査結果によってその可能性が排除されるものでもないと説明した。

米情報機関は昨年の調査で、敵対勢力が関与した可能性は極めて乏しいと結論付けている。

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