MLBの敏腕代理人として知られるスコット・ボラスの交渉力が低下しているかもしれない。米メディア『FanSided』は3月18日の記事で、ボラス代理人の大物顧客が今オフに大型契約を望みながら、実際には希望額に届かない金額での契約を結んでいる点に注目した。
ボラス代理人の顧客で今オフに大型契約を狙ったのは、コディ・ベリンジャー(シカゴ・カブスからFA)、マット・チャップマン(トロント・ブルージェイズからFA)、ブレイク・スネル(サンディエゴ・パドレスからFA)、ジョーダン・モンゴメリー(テキサス・レンジャーズからFA)。この4選手は、総称“ボラス4”と呼ばれている。
しかし、28歳のベリンジャーは総額2億ドル(約300億円)以上を求めたが、3年8000万ドル(約120億円)でカブス再契約。30歳のチャップマンは1億5000万ドル(約225億円)を望むも、3年5400万ドル(約81億円)でサンフランシスコ・ジャイアンツと契約した。
また、23年にサイ・ヤング賞を受賞した31歳のスネルは2億7000万ドル(約400億円)を希望しながら、2年6200万ドル(約93億円)でジャイアンツと契約している。この3選手の契約には、いずれも毎年のオプトアウト(契約の見直しや破棄できる権利)条項が盛り込まれている。そして、31歳のモンゴメリーにいたっては、いまだにフリーの状況だ。
「ボラスはクライアントに最大限の利益をもたらすことに、とくに重点を置いている。過去を振り返っても、それは間違いない。それがボラスという代理人だった」
こう記した同メディアは、「しかし、この4選手の交渉では、そんな金額を支払う気のない球団と長期にわたる膠着状態に陥った。スネルは開幕10日前にようやく契約先が決まり、モンゴメリーはまだ所属チームが決まっていない。いずれもシーズン前の準備をふいにした。彼らは皆、間違った方向に進んでいる」と、ボラスの交渉術に否定的な見解を示した。
「これからボラス代理人との契約を検討している選手たちは、今オフの仕事ぶりを目の当たりにして、ボラスとのエージェント契約を取りやめるかもしれない」
今オフのボラス代理人の動きは、米メディアにとって不手際と映っている。
構成●THE DIGEST編集部