91歳・樋口恵子さんがほっとした言葉。「思い出の詰まったモノは無理に捨てなくていい」

大家族であっても、おひとりであっても、「ひとり力」がないと生きていけないといいます。今年91歳になった評論家の樋口恵子さんは、ひとりの時間をどう過ごしていらっしゃるのでしょう。話題の新刊『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』から、樋口さんの日常を教えていただきます。
※2023年9月8日に配信した記事を再編集しています。

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ひとり時間の過ごし方

昔、雑誌の取材で「これからの高齢者は『ひとり力』がないと生きていけない」とお話ししたことがありました。だって、いつかはひとりになっちゃうんですもん。

でも、自分が老いて実感しました。ひとりでも大丈夫と思いたいけれど、本当は全然大丈夫じゃない、と。

それでも人間、究極はみんなひとり。たとえ大家族であったとしても、おのおのに意思があり、結局は自分ひとりです。寂しくもありますが、そう思って生きていくしかありません。

さて、私のひとり時間はというと、寝転がって本を読んだり、新聞を読んだりしています。そうすると、娘に「起きろ!」「食べろ!」としかられるのが常です。

仕事に関係のある本もよく読みます。一遍読んで、二遍読んでから「へえ~」と思ったりすることもあります。

昔は藤沢周平が大好きでした。あの世代の作家としては、という前置きが必要ですが、男尊女卑のジェンダー意識から解放されて、自立したいい女性がたくさん出てきます。

もちろん作品は作品として読みますから、山本周五郎や吉川英治、剣豪小説を書いている五味康祐なども面白がって読んだものですが、やっぱり藤沢周平が面白い。ドラマはあまり見ませんが、「三屋清左衛門残日録」はさすが藤沢周平、気に入りました。

新聞は3紙契約しています。寝転ぶ時間がないときは2階の自室から1階へ下りていって、新聞をチェック。隅々まで目を通すとはいかないけれど、とにかく3紙には全部目を通します。

何といっても新聞くらい面白いものはない。今でもそう思っています。

科学者にほめられたボケない暮らし

科学者の方にほめられた、私の普段の暮らしをご紹介します。これをやっていれば絶対ボケない!とは言い切れませんが、専門家にほめられるとうれしいものですね。

たわいもない話をする・筆まめに

子どもの頃からおしゃべりが好き。古い友人もずいぶん少なくなりましたが、ある人には電話をかけたり、ある人には手紙を書いたり。好物をいただいたら、お礼状をさっとひと書き。はがきや切手はいつもそばに置いてあります。こうやって、いまだにいろんな人とつながっています。

モノは捨てない

思い出の詰まった「モノ」は、昔の記憶を呼び覚 ます「キー(鍵)」になるから、無理に捨てなくていいのだとか。それを聞いて、正直ほっとしましたね。特に捨てられないのは本や資料。自分の生きた証しですから。今も、どんどん増えています。

社会に関心を持ち続ける

いまだに新聞は3紙とって、読んでいます。私が理事長を務める「高齢社会をよくする女性の会」の全国大会も長年続けています。2022年は小田原大会(写真) で、介護問題などを論じました。600人もの方においでいただき、感謝しております。

書籍紹介 『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』
発売後すぐに重版出来、Amazon 本 日本文学 名言・箴言ランキングで一位取得、など40〜90代まで幅広く人気の話題の本。

樋口恵子著
主婦の友社刊
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老いのトップランナー・91歳の評論家 樋口恵子さんの痛快エッセイ。ボケるのが怖い人、老後の暮らしを心配している人、まだまだ夢をもって超高齢期を迎えたい人、親や祖父母世代が認知症になったらどうしようと悩む若い人、どんな世代にでも、男女差なく読んでいただきたい本です。社会学者・上野千鶴子さんとの「貧乏ばあさんの生きる道対談」、脳科学者・瀧靖之さんとの「ボケにくい!健脳対談」も収録。巻頭グラビアでは「91歳が安心して住める家実例」を紹介。

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※この記事は『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』樋口恵子著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。


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