「かっこいい!」ついにその姿が…日本初目指して 学生が飛行機作り 福島

エンジニアを目指して技術を磨く学生たちが、いま、本物の飛行機づくりに挑戦しています。スタートから1年半が経ち、学生たちの軽量飛行機がいよいよその姿を現しました。

3月4日。学生たちが運んでいるのは軽量飛行機のパーツです。これまで部分ごとに分けて作られてきた飛行機が初めて合体します。

学生たちの飛行機作り。その舞台は南相馬市にある県立テクノアカデミー浜です。2022年9月に製作がスタート。学生たちのサポーターは、エアレースパイロットの室屋義秀さんです。

室屋義秀さん「(学生が)機体を組み立て、人が乗って飛ぶものを作るのは日本で初めて」

寸分の狂いなく…慎重な作業続く

学生たちが作っているのは「LSAライトスポーツエアクラフト」です。小型で軽量な航空機の新しいカテゴリーで、世界で1万機以上作られています。

欧米では、メーカーが飛行機の組み立てキットを販売し、購入者が自分で組み立てる自作飛行機が普及していて、テクノアカデミーの学生が組み立てているこのモデルは、すでに600機以上作られています。プロジェクト1年目の2022年度は、飛行機の後部が完成しました。

プロジェクトの2年目。学生たちは、飛行機の最も大きなパーツである主翼の製作にとりかかりました。強くて加工がしやすいジュラルミンアルミニウム合金でできた骨組みには、機体を極限まで軽量化するためあらかじめ穴があけられています。

この骨組みに、外板(がいはん)を取り付けていきます。板と板がぴったり重なるように、寸分の狂いなく慎重にとめていく作業が1か月以上続きました。学生たちの目標は「自分たちの飛行機が福島の空を飛ぶこと」。実現すれば日本初という大きなチャレンジです。

「かっこいい」ついにその姿が…

主翼の製作に続いて、コックピットの組み立ても始まりました。LSAの外板はリベットと呼ばれる小さな金属を専用の工具でつぶして接合していきます。湾曲したコックピットの下側は工具を押し当てる角度が難しく技術がいりますが、主翼の製作ですっかりコツをつかんだ学生たちは慣れた手つきです。

佐々木優さん「下の方は難しいが、うまくできたら跡がきれいになるので、やりがいを感じる。これをやりに来たといっても過言ではないので、自分は今満足しています」

学生たちのリーダーの佐々木さんは、飛行機製作で身につけた機械加工の技術を使って、新たなものづくりに挑戦しました。佐々木さんが取り組んだのは「積層(せきそう)」という特殊な方法で作った、ステンレスの茶釜です。金属の3Dプリンターの技術で日本伝統の茶釜を製作しました。これまでにない茶釜を作りたいという会津工業高校からの依頼を受けたもので、県ハイテクプラザの最新の機械を借りて開発を進めました。

今年度最後の授業。いよいよ飛行機の機体に翼が取り付けられます。何度も調整を繰り返します。学生たちの飛行機がその姿を現しました。

室屋義秀さん「精度が高い。特に主要な構造部分が非常によくできている」

佐々木さん「かっこいい。飛ぶ時には呼んでほしい」

卒業する2年生から、1年生に飛行機作りが引き継がれます。学生が作った飛行機が人を乗せて福島の空を飛ぶという日本初の大きな夢。その夢が実現する日が近づいています。

飛行機は来年度完成し、安全性について厳しくチェックした後「試験飛行」が行われる予定だということです。

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