【シニアねこほぐし】ねこの口臭が気になるときに、試してみたいマッサージ 獣医師がアドバイス

おうちでできる“ねこのマッサージ”をご存じですか? 気になる症状があるときに「マッサージはとても有効だと思います」と、獣医師の中桐由貴先生。大好きなねこの体調が悪くなる前に、早めに気づいてケアができるといいですね。話題の新刊『シニアねこほぐし 猫を整えるやさしいマッサージ』(産業編集センター)から、ねこの口臭が気になるときのマッサージ法をご紹介しましょう。

シニアねこほぐしを始めよう!

「現在症状がでている」ところはもちろん、「そういった症状がおこったことがある、おこらないように」「うちの子、ここが弱い気がする」など、予防としても行なうのも効果的です(むしろ予防で行なうのがベストです)。既に症状がでている子は、なるべく毎日行なうことをオススメします。

猫は痛みや病気を隠そうとしますので、その変化にいち早く気づいてお家でケアする手助けにお使いください。

マッサージに決まりはありません。愛猫の弱そうなところや、試してみて気持ちよさそうにするところを重点的に行なうのでもいいと思います。病気の診断がついている子は必ずかかりつけの病院で、適切な治療を行なった上で、マッサージを行なってください。

マッサージ前に

マッサージをするにあたって、大切なことは愛猫とコミュニケーションをとることです。一方通行ではいけません。
愛猫が気のりしない時に無理にマッサージをしたり、不適切なマッサージをすると、愛猫にとって嫌な記憶になってしまい、場合によってはその一回の失敗でマッサージ自体をさせてくれなくなってしまいます。
そうならない為に、マッサージの前に知っておくことや、事前の準備などを記していきます。

【シニア猫をマッサージする時の注意点・禁忌】
基本的にマッサージは安全性が高いものなので、どんな子にでもできますが、特にシニアの子には注意点があります。

・出血していたり、外傷があったり、痛みが強い場所はマッサージNG。
・皮膚が弱くなっていたり、感覚が鈍くなっていることもあるので、基本は優しめのマッサージを行なう。
・特に体力が落ちている時は「撫でる」や「さする」などの優しいマッサージで。
・持病があり、病院へ通院している子は、必ず獣医に確認してから行なう。

<重要>
何をするのでも、必ず声をかけながら。愛猫からのアイコンタクトやサインをよく観察 しながらマッサージを行ないましょう。

【シニア猫をマッサージする時のポイント・コツ】
身体をマッサージされ慣れていないシニアの子は、急に身体を触られることにストレスを感じることもあります。

お家の愛猫に初めてマッサージする場合は、
・マッサージしたい理由や触る場所を簡単な言葉で伝える(シニアだからこそ理解してくれることが多いです)。
・マッサージとは関係なく、触られるのが好きな場所を見つける。
・好きな場所を触ることをマッサージの合図にする。
・手足の先は苦手な子が多いので、顔まわりや体幹部分のマッサージから行なう。
・マッサージ中もぞもぞしたり、他の場所とは違う反応があったところは特に施術ポイント。
・ポイントが見つかったらその周囲から優しく触って、皮膚を動かしていく。

「口臭が気になる」ねこのマッサージ

口のトラブルは比較的見つけやすく、多くの猫が該当するかと思います。
東洋医学では、口は胃、歯は腎臓に関係します。

【施術部位】
顔 ( 地倉、翳風 )
顎まわり ( 唾液腺 )
前あし ( 曲池、合谷 )

【施術方法】
各ステップ5〜10回ずつ

※ツボ、唾液腺は全て左右に1つずつあります。
Step1 下顎こちょこちょ。片手で行なっても、両手でもOK。
Step2 下顎を中心から外側に撫でる。口角のあたりで止めてくるくる(地倉)。
Step3 下顎をくるくる(下顎の唾液腺を刺激)。
Step4 上顎を中心から耳に向かって撫でる(翳風)。
Step5 耳下をくるくる(耳下の唾液腺を刺激)。
Step6 前あしの肘の外側から手首内側に向かってさする(曲池、合谷)。

【トラブルの可能性がある部位】
歯、歯茎、胃腸、腎臓
※病院で「歯石・歯肉炎」と診断された子にもおすすめです。

【他にも対応できる症状】
歯茎から血が出る、歯茎が赤い、食欲がおちる、歯が抜ける

【マッサージの目的・効果】
唾液分泌を促しつつ、口の中の痛みや炎症を軽減させる。

「撫でる」「さする」「こちょこちょ」のポイント

「口臭が気になる」ねこのマッサージで行なう「撫でる」「さする」「こちょこちょ」のやり方を、もう少しくわしく解説します。

撫でる

圧はあまりかけないで皮膚表面に優しく行なう。シニアマッサージではメインの手法。場所により、指1本から、指の関節部、手のひら全部や爪側を使ったり色々応用できる。
【場所】全身

さする

皮膚を動かす感じで、指の腹や手のひらを使い、細かく動かす。「撫でる」と大きな差はないが、より狭い範囲を重点的に行なうイメージ。シニアマッサージではメインの手法。
【場所】全身、痛みがある場所。

こちょこちょ

指先を使い、優しくこちょこちょする。マッサージの始めや、触られるのに慣れていない子にも使える。
【場所】頭周辺、尻尾付け根、ツボがある場所。

次回は「目(目のまわりがよごれる)」ときのケアをご紹介します。

※この記事は『シニアねこほぐし 猫を整えるやさしいマッサージ』(中桐由貴著 産業編集センター刊)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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