「対馬地鶏」を分散飼育 鳥インフル対策、島原農高など4校へ 長崎

対馬地鶏を手にする生徒と嶋澤副所長(右)=島原市下折橋町、島原農業高

 かつて対馬にいた在来種「対馬地鶏」約200羽を飼育している長崎県農林技術開発センター畜産研究部門(島原市)はこのほど、うち9羽を県立島原農高(同)に託した。高病原性鳥インフルエンザ発生に備えた分散飼育で、同校を含め県立農業高校4校が計43羽を受け入れた。
 分散飼育は昨年9月以降、西彼農高(西海市)が10羽、北松農高(平戸市)が12羽、諫早農高(諫早市)が12羽を担っている。
 日本農林規格(JAS)は明治時代までに国内で成立または導入され定着した地鶏を在来種と定義している。対馬地鶏は認められた38種の一つで、あごひげ状の羽毛が特徴。同部門によると、対馬では江戸時代に朝鮮半島から種鶏200羽を導入した記録があるが、島内に原種は現在残っていない。1976年に県畜産試験場(同部門の前身)が旧峰町から卵50個を取り寄せ、増殖させた。
 11日、島原農高に渡した同センターの嶋澤光一副所長は「万が一、鳥インフルが発生すると殺処分しなければならない。(分散飼育で)リスクを減らすとともに、教材として役立て、卵を使った加工品作りにも挑戦してほしい」と期待を述べた。
 飼育を担当する同校農業ビジネス科1年の松尾美来さん(16)と西田優翔(ゆうと)さん(16)は「対馬地鶏はガッチリとした体格で、ひげも立派。在来種を育てる機会はなかなかないので大切にしたい」と話した

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