せりふの稽古に熱 砺波・出町子供歌舞伎 師匠と初顔合わせ

市川師匠(手前)の指導でせりふの稽古に励む子供役者=砺波市内

  ●春休みは連日夜まで特訓

 4月29、30日に砺波市で行われる県指定無形民俗文化財「出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)祭」に向け、初めて公募に応じた子供役者ら6人の稽古が23日、同市西町公民館で本格的に始まった。師匠ら2人と初顔合わせした子供たちはせりふの稽古に熱がこもり、本番の舞台へ気持ちを高めた。

 子供役者は、平安時代に東北で勢力を築き、都に滅ぼされた安部一族の再興を誓う安部貞任・宗任兄弟の姿を描いた西町のおはこ「奥州安達ケ原三段目」を演じる。

  ●「元気な声出して」「もっと大きく」

 23日は北海道函館市の函館こども歌舞伎を指導する師匠の市川団四郎さんと、市松流名取の市松与紫也さんの手ほどきを受け、台本を見ながらせりふを読む練習に励んだ。市川さんが手本を見せながら熱血指導し、会場には「元気な声を出して」「もっと大きく」などと厳しい声が飛び、子供たちは朝から夜までせりふの稽古を繰り返した。

 平傔仗と八幡太郎義家役の出町小3年の源通彩矢さん(9)は「緊張したけれど、大きな声でせりふを強く言うことを心掛けたい」と話した。浜夕役の同2年の坂井瑛美さん(8)とお君役の同1年の近藤あかりさん(7)は「もっと大きな声でせりふを言いたい」と声をそろえた。

 子供役者は昨年12月から市川師匠のせりふを吹き込んだCDを聞きながら自宅で練習に励み、2月11日から西町公民館で週1回の稽古を続けてきた。春休み期間中は4月7日まで連日、午前9時~午後9時まで特訓に励む。

 出町子供歌舞伎は出町神明宮の春季祭礼で、東、中町、西町の3町が輪番で担当し、西町は2020年と21年がコロナ禍で中止となり、17年以来の当番町で、初めて公募に応じた子供役者らが演じる。

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