「馬場小は宝」合唱で別れ 金沢で閉校式、153年の歴史に幕

閉校式で「泉鏡花の歌」を合唱する児童=金沢市馬場小

 金沢市馬場小の閉校式は23日、同校で行われ、児童や地域住民ら約200人が153年の歴史に幕を下ろす学びやに思いをはせた。児童は卒業生の泉鏡花の「縷紅新草(るこうしんそう)」の一節に曲を付けた「泉鏡花の歌」を合唱し、「僕たちの母校馬場小をいつまでも忘れません」と宣言した。

 野口弘教育長が告辞、松本恭子校長が式辞を述べ、塩原吉成閉校記念事業実行委員長、下田正幸PTA会長、村山卓市長、高誠市議会議長が順にあいさつした。

 児童全員で「泉鏡花の歌」を合唱した後、出席者全員で校歌を斉唱し、松本校長が野口教育長に校旗を返納した。

 6年生の小橋叶和さん(12)は「友達と出会い、貴重な経験ができた宝物のような場所。なくなるのはさみしい」と名残を惜しんだ。同級生の福島希子さん(12)は「3年前に始まった全校ダンスが一番の思い出。馬場小で学んだことを生かし、夢に向かって進みたい」と前を向いた。

 式には多くの卒業生も参加した。60年前に卒業した加藤俊一さん(72)は「当時は千人近い児童がいた。地域から子どもの声が聞こえなくなるのはさみしい」と感慨を込めて話した。

 馬場小は1870(明治3)年創立で泉鏡花や徳田秋声、歌人の尾山篤二郎ら約2万人が巣立った。ピーク時は1500人の児童が学び、今年度の在校生は70人。4月に明成小と統合する。

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