門前のバラ園よみがえれ 07年地震後整備、元日被災

大倉さん(右)とバラ園を整備する学生=輪島市門前町道下

  ●地元の大倉さん、学生と修復作業

 能登半島地震で被災した輪島市門前町道下のバラ園が、復活に向けて動き出した。2007年の地震後、住民の憩いの場として整備されたものの、元日の激しい揺れで柵などが倒れ、園内はぐちゃぐちゃに。世話を続けてきた住民は手直しを諦めていたが、「被災地の未来のために」と再整備を決意。07年の地震からちょうど17年となる25日に合わせ、作業に着手した。

 バラ園は、地元に住む大倉好子さん(74)が07年の地震から丸10年の節目となった17年に、空き地を利用して整備した。大倉さんは別の場所にも花壇を整備し、「いきる」「いのり」などの花文字で復興への願いを表現してきたが、体力の衰えから21年に花壇を廃止し、以降はバラ園のみを世話してきた。

  ●撮影場所でも人気

 5月になるとバラなど多彩な花が咲き誇り、結婚式や成人式の前撮りスポットとしても人気だったが、今年1月1日の地震で園内の風景は一変。自宅が全壊し、失意の中にあった大倉さんは「バラ園は直せなくても仕方ない」と考えていた。

 そんな時、背中を押してくれたのが07年の地震で知り合った北陸学院大の田中純一教授(災害社会学)だった。「あそこは住民を支えた場所。なくてはならない場所。一緒に頑張りましょう」。その言葉に救われ、バラ園をよみがえらせようと決めた。

 25日、大倉さんは夫(81)とともに避難先の金沢から門前を訪れ、柵を立て直したり、鉢の土を入れ替えたりした。田中教授や同大の学生、教員もサポートに当たった。

 大倉さんは「田中教授らボランティアがいなかったら前を向けなかった」と感謝し、「訪れた住民が立ち上がれるように頑張ってお世話したい」と力を込めた。

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