プーチン氏、ウクライナの関与示唆 モスクワ銃乱射

[モスクワ 25日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は25日、首都モスクワ郊外で22日に起きた銃乱射事件について、実行したのはイスラム過激派としながらも、ウクライナも利益を受けると示唆し、同国が関与した可能性があるとの見方を示した。

プーチン大統領は同事件への対応を協議する会合で「われわれはイスラム世界が何世紀にもわたり戦ってきたイデオロギーを持つイスラム過激派の手によって、この犯罪が実行されたことを知っている」と述べた。

「イスラム国」(IS)には直接言及せず、実行犯がウクライナに逃れようとしていたと改めて主張。「多くの疑問」を検証する必要があるとした。

その上で「この事件で誰が利益を得るのかが焦点となる」とし、「この残虐な行為は、『ネオナチ』のウクライナ政権の下で2014年以来ロシアと戦争状態にある者たちによる一連の試みの一端にすぎない可能性がある」と指摘。「ロシアに対するこの犯罪行為の実行犯が誰だったかは分かっている。誰が指示したのかに関心がある」と述べた。

犯行の目的は「パニックを引き起こす」ことだったとしつつ、ロシア軍がウクライナの戦場で前進する中、「キーウ(キエフ)の政権にとって全てが失われたわけではないことを自国民に示す」目的もあった可能性があるとの見方を示した。

ウクライナは関与を否定している。

ロシア連邦捜査委員会によると、モスクワ近郊のコンサートホール「クロッカス・シティ・ホール」で発生した銃撃事件の死亡者数は139人になった。

フランスのマクロン大統領は25日、記者団に「われわれや主要なパートナーが入手した情報は、この攻撃を実行したのがIS組織であることを示している。同グループは過去にフランスへの攻撃を試みている」と述べた。

その上で「この状況を利用してウクライナを不利にしようとするのは、ロシアにとっても同国民の安全にとっても皮肉で逆効果だ」とした。

米ホワイトハウスもウクライナが関与したとの見方を否定し、ロシアによるさらなるプロパガンダと一蹴した。

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