KDDIスマートドローンら、PRODRONEの水空合体ドローンを用いて、遠隔での橋脚水中点検に成功

水空合体ドローンは、空中ドローンと水中ドローンが合体し、モバイル通信による遠隔操作で、空を飛び水に潜ることができる世界初のドローンだ。音響測位装置により、衛星利用測位システム(GPS)が使えない水中でもドローンの位置情報が分かる。

水空合体ドローンによる橋脚水中点検実証の様子

新型機は、水中ドローンをPRODRONEにて開発し、水中維持機能などのカスタマイズ開発ができるようになったほか、音響測位装置を改良し、揺れや流れのある実海域でも安定して水中の位置を把握しながら、点検ができるようになった。また、タブレット1つで、空中・水上・水中カメラの映像・情報を確認できるようになり、少人数での運用により、効率的に点検できる。

水空合体ドローン新型機

橋脚は全国に73万橋梁あり、2030年にはその55%が築50年以上となり、その点検効率化が大きな課題だ。特に橋脚水中部の点検は、船を出し、ダイバーで点検する必要があるため、点検実施率が低く、より安全で効率的な点検手法が求められているという。

今回の実証にて、船を出さずに遠隔で陸から橋脚水中部分の点検が水空合体ドローンでできることが確認できた。2024年度には、同東京都「東京ベイeSGプロジェクト」にて、サステナブルな社会インフラ管理のDXに向け、社会実装に向けた実用化実証をおこなっていくとしている。

水空合体ドローン橋脚水中点検実証について

実施概要

橋梁橋脚の点検では、①水上部変状 ②水中部変状 ③基底部洗堀状況の確認が必要だ。今回の実証は、水空合体ドローンで、これらの劣化状況を遠隔で撮影できるかの実証を行った。

【日程】2024年3月5日 【場所】東京湾中防大橋

水空合体ドローン橋脚水中点検実証点検内容

実証結果

実証では、①水上部変状は、空中ドローンカメラで、②~③の水中部の変状は水中ドローンカメラにて撮影した。水産基盤施設点検基準に基づき老朽化度を判定した結果、広範囲の鉄筋露出・中詰め材が流出するような損傷は見られず、問題のないことが確認できた。

実証体制

水空合体ドローン新型機について

機体概要

空中ドローンと水中ドローンを組み合わせ、空を飛び、水中に潜ることが可能だ。

水中のタービンにより水上を移動でき、GPSもしくはGNSS等の情報により、海流や風に流されることなく、水上の位置を維持することが可能になった。また、新機体ではフロートを大型化し、水上の移動性能を向上させた。

水中ドローンと音響測位装置

今後の水中自動航行に向け、音響測位情報に基づき水中での位置を維持する機能を搭載し、ハード・ソフト共にカスタマイズ可能な水中ドローンをPRODRONEにて開発した。

また、測位頻度を秒間1回から5回とし、動揺補正を精緻化した音響測位装置(音響発生装置・音響受信装置)を新たに開発し、実環境での測位精度を向上させた。さらに小型化することで水中ドローンに搭載しやすくした。

水空合体ドローン統合管理アプリ

これまで別々に管理していた空中・水上・水中の映像・情報を、スマートドローンプラットフォーム上に集約し、タブレットアプリに統合。タブレット上で水中ドローンの映像と位置を見ながら操作ができるようになった。

活用用途

船を出さずに、沿岸から水中の様子を確認できることから、日常的に船で養殖場や定置網の様子を確認している水産業監視、洋上風力/ダム/橋脚などの水中インフラ点検、ブルーカーボン測定などさまざまな用途での活躍が期待されているという。

▶︎KDDIスマートドローン

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