寄せ植えは花の同系色で“調和”を、反対色(補色)で“変化”を楽しめると、前回お話ししました。さらに今回は、植物の草丈や草姿の組み合わせに注目してみましょう。草丈や草姿の異なる植物を組み合わせると、寄せ植えに動きがプラスされてダイナミックな魅力が生まれます。
★寄せ植えにおすすめの花の色★
コンパクトで組み合わせやすい春の花々
春は比較的コンパクトな草丈の草花が多く、寄せ植えに組み合わせやすいものです。そのなかでも上の写真のように、ビオラやプリムラという草丈15㎝ほどの草花と、25㎝ほどのヒヤシンスやムスカリやスイセンを組み合わせると、横長の空間に高低のリズムが生まれます。
ビオラやプリムラのような草丈の低い草花だけの寄せ植えより動きがありますね。このくらいの草丈の組み合わせだと、ヒヤシンスやムスカリの花房の下をビオラやプリムラが埋めて、どちらの花もよく見える「花いっぱい」のにぎやかな雰囲気が楽しめます。
1種類の草花だけでもかわいらしいものですが、草丈の異なる植物と組み合わせることで互いの個性を引き立てあい、新鮮な表情を見せてくれます。これが寄せ植えの魅力です。さらに草丈の違う同系色や同じ草丈の反対色を組み合わせて、1鉢の中で‟調和と変化“を楽しみましょう。
上に伸びる、こんもり茂る、下に垂れる草姿
さて、ムスカリやスイセンのように「花茎が上に伸びる」タイプに対し、ビオラやプリムラは「こんもり茂る」タイプです。シバザクラやスイートアリッサムのように「横に広がる(下に垂れる)」タイプもあり、こうした植物本来の姿を「草姿(そうし)」といいます。
草丈の違う植物=草姿が異なるタイプです。異なる草姿の植物を組み合わせると、立体感のある寄せ植えができます。さらに植物がそれぞれ上下左右に生育していくとダイナミックな印象になり、パンジーだけの寄せ植えのこじんまりした印象とずいぶん変わります。
この写真は、上に伸びるスイセン、こんもり茂るビオラ、横に広がり枝垂れるワイヤプランツという、3タイプの植物がのびのびと育ってダイナミックな印象です。
後方のシルバーリーフはプラチーナでしょうか。テイストの全く異なる葉ものがアクセントになっています。
草姿によって配置する位置にコツがある
さて、3タイプの草姿を組み合わせるとき、それぞれコンテナ(鉢)のどこに配置するとよいと思いますか。ポイントはその位置ですべての植物がよく見渡せること! コンテナを飾る場所が決まったら、すべての植物がよく見えるように配置しましょう。
上に伸びる草丈の高いものは後方、また中心に。こんもり茂るものはその両サイドか前面に配置。横に伸びるものは一番端っこや最前面に植え、伸びたらコンテナから枝垂れさせます。こうすると全体のフォルムに安定感が出て、育ってからもバランスがよいものです。
この写真は初夏の寄せ植え。上に花穂を伸ばすアンゲロニアを後方に、その前面をこんもり茂るインパチエンス、最前面を横に広がるカリブラコアとシルバーリーフのグレコマという組み合わせです。アンゲロニアはこのあともっと伸びて、どの花もよく見えるでしょう。
花色は濃いピンクから淡いピンクに藤色などの同系色を中心に、反対色になる黄緑色のリーフ、ヒューケラをアクセントにしています。ちょっと種類が多すぎて管理が大変かもしれませんが、かわいらしいですね。
ブッシュやリーフを組み合わせてお手軽寄せ植え
寄せ植えは、日当たりや水やりなどの条件が合う植物を組み合わせる必要があります。日当たりよく乾き気味の環境が好きな植物のなかに、強光が苦手な植物が入ると同じ条件では傷みやすいもの。あらかじめ性質を調べて組み合わせるにしても、種類が多いと難しいですね。
また、先に紹介したようにアンゲロニアやインパチエンスなどの一年草中心の寄せ植えでは、開花期が終わるたびに全面的に植え替えなければなりません。いっそ始末がよいともいえますが、いかがでしょう?
おすすめしたいのは、大きくならないブッシュ(低木)や花のない時期もリーフが美しい多年草を、寄せ植えの核にすることです。西洋ではよくコニファー(針葉樹)やマサキなどの樹木を中心にした寄せ植えを見かけます。
大きめのコンテナの中心に低木を植えておけば、晩春にカリブラコアやインパチエンス、晩秋にパンジー&ビオラのように長く咲く一年草を数株植え替えるだけで、一年中花の絶えない1鉢ができます。グレコマやアイビーなどの常緑リーフを縁取りにするのもおすすめです。
寄せ植えといってもすべて花ばかりでなく、低木やリーフプランツが混ざるほうが見た目にナチュラルに仕上がり、花色の美しさも引き立つというものです。こうしたポイントを押さえて、寄せ植えをグッと手軽にセンスよく楽しみませんか。