つないだ絆、一球に乗せ 北陸への思い末永く 氷見発祥「ハンぎょボール」で交流 春中ハンド福島県代替開催

ハンぎょボールを通じて絆を強めた氷見市と福島県の関係者ら

 ハンドボールでつながった縁をこれからも―。能登半島地震を受け、富山県氷見市から福島県内に会場が移った春の全国中学生ハンドボール選手権大会(春中ハンド)。第3日の26日、大会を支えている氷見市と福島県の関係者が福島市のあづま総合体育館で氷見市発祥の競技を共にプレーし、末永い交流を誓った。県内の関係者は「大会を通じて生まれた関係を保ちたい」との思いを胸に、27日の最終日を迎える。

 26日に行われたのは、ハンドボールに主要産業の漁業の要素を取り入れた「ハンぎょボール」。特産のブリなどのぬいぐるみを脇に抱え、プレーする。競技経験の有無や年代を問わずに楽しめる生涯スポーツとして現地で親しまれている。

 今大会での実施は、主催する日本ハンドボール協会が「氷見と福島のつながりを深める場にしよう」といずれも主管団体の氷見市実行委員会や県ハンドボール協会に提案。氷見市と県内の関係者が二手に分かれて対戦した。

 氷見チームには氷見市を拠点に日本リーグに参戦している「富山ドリームス」の青沼健太選手(24)が加わり、高い技術で場内を沸かせた。昭和学院高(千葉県)3年時の全国高校総体を同体育館で戦った。「久しぶりに福島の皆さんと関われてうれしい。氷見の代わりに大会を開いてくれた恩を返したい」と話し、県内でハンドボールの普及に協力していく考えを示した。

 「ハンぎょボール」に自ら参加した福島県ハンドボール協会長の遠藤均さん(61)は「県内開催は今回限りの見込みだが、氷見や北陸の皆さんとの縁をこれからも大切にしたい」と語った。運営をサポートしようと県が組織した特命チームは場内に掲げるのぼり旗などの用品に大会の回数や会場名を記さず、氷見に戻った後も使えるデザインにした。

 北陸地方はハンドボールが盛んな土地柄で、今大会も最終日に富山、石川両県の代表が勝ち残っている。氷見市実行委事務局長の鎌仲正寿さん(66)は「来年の氷見開催の『復活』に向け、頑張ってほしいという福島の方々の気持ちが伝わってきた」と気遣いに感銘を受けた様子だった。

 全国から来場した人々も能登半島地震の復興を支える思いを新たにした。選手として出場した孫の応援に来たという東京都の安藤公子さんは「募金などを通じてこれからもできる範囲で後押ししたい」と話した。

ブリのぬいぐるみを抱え、プレーする参加者

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