「ホットフラッシュだから冷えてない」なんて思ってない?更年期症状が強い人ほど欠かせない対策とは

女性の約8割は冷え性だということを知っていますか? しかも年齢が上がるにつれて増える傾向があるそうです。「体質だから仕方ない」なんて思っているのは間違い。冷えとりカリスマ医師 石原新菜先生に、特に更年期の症状で悩んでいる女性に、5回に分けてアドバイスをいただきます。第1回は更年期と冷えの関係について。

更年期の悩みやつらさ誰かに相談できてる?

更年期については、まだまだ悩みを伝えられていない人は多いと感じています。

更年期とは、閉経をはさんだ前後5年ずつの10年間を指します。
この時期、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少して、「更年期障害」といわれるトラブルに見舞われがちです。その代表的なものを下にまとめました。症状が出るか出ないかは人それぞれ。だからこそ、つらくても人に言えずに我慢しちゃう人って多いんです。

しかも更年期って、公私ともに大変なことが次々起こる時期でもありますよね。子どもがいる人であれば反抗期や受験や、就活、子どもの独立のさびしさを味わう時期でもあります。親の介護が始まる人もいるし、夫が定年退職を迎えて生活が激変したという人もいるかもしれません。

仕事をしていれば、責任ある地位につく頃でしょう。20〜30年働いてきて、ようやくやりたいことができる!という時期です。にもかかわらず「更年期障害のせいで昇進を辞退したことがある」という女性は半数にものぼるそうです(日本医療政策機構の調査より)。
さらに17%は退職を余儀なくされているのです。本当にもったいないことです。

更年期障害の主な症状
【体の症状】
・のぼせ・発汗・冷え・動悸・息切れ・疲労感・肩こり・頭痛・めまい・吐き気・腰痛・関節痛
【心の症状】
・落ち込み・イライラ・無気力・不安感・憂うつ・集中力低下・不眠

体が冷えるほど更年期症状はつらい

更年期は誰にでも訪れます。つらいときには家族や職場の人に伝え、サポートをお願いしましょう。職場の制度などを利用できるかもしれません。産婦人科にも気軽に相談できるといいですね。その場合、漢方薬かホルモン補充療法を提案されると思うのですが、私は必ず「温活もしようね」とお伝えしています。

体が冷えると血流が悪くなり、内臓の働きが悪くなります。それは卵巣も同じことです。ただでさえ減っている女性ホルモンが、ますます減少してしまうのです。体が温まれば臓器の働きはよくなります。更年期症状が強い人ほど、冷え対策は欠かせないんです。

「ホットフラッシュだから冷えてない」なんて思っていませんか?

代表的な更年期症状の一つがホットフラッシュです。急に顔が熱くなって、汗が止まらなくなるような症状をいいます。顔が熱いから「自分は冷えとは無関係」と思っている人もいるかもしれませんが、実はこれも冷えの一種。漢方では「昇症」と呼ばれています。全身の血が上半身に昇ったまま、下半身にめぐっていない状態です。「冷えのぼせ」ともいわれます。

順調に生理があった頃は、子宮や卵巣が元気に働いて下半身の血のめぐりを整えていました。更年期でその働きが低下したことで、下半身のめぐりが落ちてしまったのです。上半身は熱くても、下半身は冷えています。

改善するには、熱が全身を巡るような冷え対策が必要です。一番重要なのは運動、そしてお風呂や食事などで体を内側から温めることです。

※この記事は「健康」2024年春号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

監修者
医師 石原新菜

いしはら・にいな
イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。著書に『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)など多数。


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