突然、ふくらはぎの筋肉がつり、ふくらはぎに激痛が走る「こむら返り」。痛くてつらいですよね。こむら返りが起きてしまったら、どうしたらいい? 出沢明PEDクリニック院長の出沢明先生に、対処法を教えていただきましょう。急なこむら返りを鎮める「ひざ裏伸ばし」のやり方を紹介します。
なぜ「ふくらはぎ」はつりやすいのか
全身の筋肉の中でもつりやすいのが「腓腹筋」というふくらはぎの筋肉です。すねの骨の裏側にある内側頭と外側頭という2つの筋肉で構成されています。大腿骨に始まり、ヒラメ筋と合わさって、アキレス腱まで通じています。
ふくらはぎがつった状態を「こむら返り」 というのは、ふくらはぎを「こむら(腓)」と呼んでいたことからきています。
たくさんの筋肉のうち、ふくらはぎの筋肉が特につりやすいのは一体なぜでしょう。
①重力に対して姿勢を保つために働く筋肉(抗重力筋)のひとつであり、負担がかかりやすく疲労がたまりやすい
②心臓から遠い位置にあるためむくみや血行不良が起きやすく、酸素やミネラルなどが不足しやすい
③足元に近いため気温の影響などで冷えやすく、筋肉のこわばりや血流不足が起きやすい
④就寝中などはあお向けの姿勢をとることでつま先が下がり、ふくらはぎの筋肉が収縮しやすくなる
これらの要素が組み合わさるなどして、筋肉や神経に影響を与えることでこむら返りが発生するのです。
こむら返りに効く「ひざ裏伸ばし」
急なこむら返りの激痛やしびれを鎮めてくれるのが「ひざ裏伸ばし」です。とても簡単な方法ですから、緊急対処法としてぜひ覚えておきましょう。
こむら返りが起きたほうの足を前に伸ばして座り、手やタオルを使ってつま先を手前に引いて、ふくらはぎとひざ裏の筋肉を伸ばします。このとき、口からフーッと大きく息を吐きながら、足のつりが解消され、痛みが和らぐまで続けましょう。
特に“ひざ裏”をしっかりと伸ばすことで、硬くこわばってしまったふくらはぎの筋肉がほぐれて、周辺の血流が促進されます。すると、血液を通じてミネラルが必要な部分に運ばれて神経の情報伝達がスムーズになり、収縮・けいれんした筋肉の働きが正常化するのです。
また、ひざ裏だけでなく、ふくらはぎ、アキレス腱を効率よく伸ばせるのが、「ひざ裏伸ばし」のポイントです。
就寝中などにこむら返りが起きた場合、慌てて立ち上がろうとして、転倒したり筋肉を傷めたりする例は少なくありません。まずは深呼吸をしながらゆっくりと「ひざ裏伸ばし」を行い、落ち着いて痛みを鎮めましょう。
こむら返りを鎮める「ひざ裏伸ばし」のやり方
つま先をつかんで手前に引っぱり、ひざ裏とふくらはぎをゆっくりと伸ばす
タオルで引っぱる「ひざ裏伸ばし」
つま先にタオルをかけて手前に引っぱり、ひざ裏とふくらはぎをゆっくりと伸ばす
壁に押しつける「ひざ裏伸ばし」
壁に足の裏を押しつけて、ひざ裏とふくらはぎをゆっくりと伸ばす
【POINT】
*どの方法で伸ばしても効果は同じ。つりやすい人は枕元にタオルを置いておくとよい
*足のつりが解消され、痛みが和らぐまで続ける。深呼吸をしながら行うとよい
イラスト/宮重千穂
※この記事は『「足がよくつる」人のお助けBOOK』出沢 明著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
※2023年9月22日に配信した記事を再編集しています。