父の思い胸に花火打ち上げ 足利・須永花火田島煙火工場 5月3日、渡良瀬川で

浩さんが文字を書いた募金玉とチラシを手にする浩太郎さん

 【足利】名草上町の須永花火田島煙火工場は5月3日午後7時半から、渡良瀬川の田中橋下流で「2024ほほ笑みカーニバル」として花火を打ち上げる。昨年11月、大腸がんで亡くなった4代目の故田島浩(たじまゆたか)さん(享年58)が、子どもたちに夢や希望を与えようと準備していた企画だ。浩さんの思いを胸に、現在、5代目で長男の浩太郎(はるたろう)さん(33)らが、初夏の夜空を彩る準備を進めている。

 浩さんは2017年、グループ会社の業績不振の影響で事業停止となった「須永花火」を引き継ぎ、花火を製造してきた。浩太郎さんの目に映る浩さんは「花火を愛している人」。大腸がんと約3年間闘った末、自身が最後に手がけた「土浦全国花火競技大会」の打ち上げの準備が完了したのを見届けて旅立ったという。

 浩さんが企画していた「ほほ笑みカーニバル」は、市内の企業や商店から浄財を募り19年から実施していた「ほほ笑み花火」の開催時期を冬から5月にずらした。火薬の入っていない花火玉を募金箱代わりの「募金玉」として設置していた。

 ゴールデンウイークは、こどもの日もあり、気候も暖かく、子どもたちが来やすいと考えた。ただ浩さんが「カーニバル」と命名した意図を浩太郎さんは知らない。「実行委員会を作ってイベントをやりたかったのかもしれない」と推測する。

 浩太郎さんは入社以来、経理や営業の担当が長く、花火の製造などは未熟な部分も多いという。「プレッシャーもあるが、代表が替わっても大丈夫だと思ってもらえるような花火を打ち上げたい」と力強く語る。

 「カーニバル」も引き続き募金玉を設置している。設置場所や協賛の詳細はホームページで確認できる。荒天時は4日の同時刻に延期する。(問)同工場0284.41.9203。

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