鹿児島県知事選まで3カ月 新人・現職の前哨戦がヒートアップ ともに無所属、支持固めに奔走

鹿児島県知事選への立候補を表明している元県議の米丸麻希子氏(左)と現職の塩田康一氏

 7月7日投開票の鹿児島県知事選まで残り3カ月。新人で元県議の米丸麻希子氏(48)=自民党離党=が立候補を正式表明し、2期目を期す現職の塩田康一氏(58)に挑む構図が鮮明になってきた。ともに無所属で、支持基盤が盤石とは言いがたい。「幅広い支援を受けたい」と前哨戦はヒートアップしつつある。

 「(知事選に)出るんでしょ?」「出ます」。3月16日、鹿児島市内のホテル。両者が出席した会合で、塩田氏の問いかけに米丸氏は即答した。出馬を模索していた米丸氏が正面切って“宣戦布告”した瞬間だった。

 知事選に向けては塩田氏が昨年12月、県議会でいち早く意向表明していた。初当選時は政党の支援を受けない草の根だったが、今回は既に自民と国民民主から推薦を得ている。

 特に県議会で最大会派の自民と良好な関係を保つのに腐心しているようだ。「推薦に感謝する。引き続き県政を担いたい」。3月議会の最終日、自民県議団の団総会にわざわざ足を運び、経済回復や子育て支援に力を入れる考えを訴えた。

 塩田氏自身は「活動量は全然足りていない」と話すが、知事の公務日程には表れない庁外での「政務」も加速。3月は推薦願を出した連合鹿児島を上旬に訪ね、賃上げや産業振興、人材不足対策などを巡って意見交換した。月末には霧島市の旅館であった激励会へ。自民県議の音頭で、森山裕党総務会長や地元の主な党友好団体のトップが顔をそろえ、結束を確認した。

 ただ、自民は過去2回、推した現職が敗れた経緯がある。「今回はさすがに負けられない」(中堅県議)との意見がある一方、別の議員からは「塩田氏に失政はないが、地元では続投でいいとも聞かない」との声も。米丸氏が自民で活動した経歴もあって一枚岩にならないとの観測は根強い。

 実家の葬儀会社の経営や旅行会社の起業を経て県議になった米丸氏は保守分裂を狙う格好となる。2期目途中の昨年12月、同僚議員との打ち合わせで新年度は役職に就かないと宣言。「知事選狙いか」と憶測が広がった。鹿児島港本港区ドルフィンポート跡への新総合体育館計画に反対し、塩田氏ら県側を追及していたからだ。

 周囲の見立て通り、水面下の活動に突入する。タレントのデヴィ夫人が講演した新体育館反対のシンポジウムは裏方を担当。出馬が報じられた3月下旬以降は、小規模集会などに顔を出す。草の根で支持拡大を目指し、「連携できる政策があれば党派を超えて取り組みたい」とアピールする。県議からは体育館だけを争点にして全県選挙を戦えるかと疑問の声も聞かれるが、「塩田知事よりも若い女性候補。鹿児島市など大票田の得票次第で結果は分からない」と見る向きもある。

 知事選と同時期には九州電力川内原発1号機の運転延長も控える。共産などは原発を争点に候補者擁立を模索している。

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