28日に北陸三県で開幕する「ガルガンチュア音楽祭」（北國新聞社特別協力）に、地元の七尾市へ帰省中に被災したピアニストの西村広文さん（41）＝大阪＝が出演することが決まった。西村さんは避難先の小学校でピアノを演奏して住民らに癒やしのひとときを届け、本紙の報道をきっかけに作曲家で実行委の池辺晋一郎会長が出演を依頼した。西村さんは音楽祭でも復興の願いを込めた旋律を響かせる。
音楽祭は28日～5月5日の日程で「大西洋をわたる風～イギリス、アメリカの音楽～」をテーマに開かれる。
西村さんは5月4日に金沢市の石川県立音楽堂交流ホールで開かれるリクエスト公演「みんなの『これ聴きたい！』」に出演する。県民から要望のあった曲を、同じく被災した七尾高3年の石島彩羽（いろは）さんと奏でる。2人は被災当時から現在までの心境を語り、ナビゲーターを池辺会長が務める。
西村さんはアーティストのライブ・録音のサポートをはじめ、作曲・編曲を手掛けており、バンド「アカシアオルケスタ」のメンバーでもある。
元日は、祖母や母と家族だんらんの時を過ごしていた時に地震が襲った。母校の七尾市山王小に避難して半月ほどを過ごし、音楽室のピアノを使って避難住民や子ども向けに計3回の音楽会を開いた。西村さんは「被災者には同じ境遇として一緒に頑張りましょうと伝えたい」と意気込む。
●被災者を無料招待
ガルガンチュア音楽祭実行委員会は、能登半島地震の被災者300組600人を無料招待する。10日に開かれる会合で正式に発表される。
国内外で活躍する一流奏者が北陸に集い、良質な音楽に触れられる祭典を通して、被災者の心身のリフレッシュや復旧・復興の活力につなげてもらう。
5月3～5日に県立音楽堂で開かれる計6公演が対象となる。1公演につき、50組100人を招待する。申し込みは11日から、音楽祭のホームページもしくはチケットカウンター＝076（232）8118＝まで。無料招待の公演は次の通り。
◇5月3日▽午後3時50分 OEKでめぐるアニメの歴史▽午後6時半 中嶋彰子×能舞―天才作曲家 海をわたる！◇4日▽午後2時半 オックスフォード・フィルの「スコットランド」▽午後5時10分 大阪フィルの「グランドキャニオン」◇5日▽午前11時50分 大阪フィルで聴く「スター・ウォーズ」▽午後5時10分 オックスフォード・フィルの「運命」
●中高生150人も
県吹奏楽連盟は、5月3日に県立音楽堂コンサートホールで開かれる陸上自衛隊中央音楽隊の「復興への扉を開く！」に中高生150人を招待する。
