ぐっすり眠れない、寝つきが悪い……、その睡眠不足は、もしかすると腸内環境が乱れているせいかもしれません。うんち博士こと辨野義己先生に、腸と睡眠の関わりについて3回に分けて教えていただきます。第2回は、腸が動く「運動」編です。
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便を出す力をつけるには、腸のまわりの筋肉を鍛えることが重要。また、軽い運動から得られる、ほどよい疲れも質の高い睡眠を誘います。
腸腰筋を鍛える運動をしましょう。骨盤からおしりにわたる腸骨筋と、背骨から足のつけ根にわたる大腰筋を合わせた「腸腰筋」は、便を出す最終段階で必要な筋肉。鍛えると、排便力がアップします。
①階段を使う習慣を。とくに下りは腸に効く
日常生活の中でも簡単に運動をとり入れられます。駅やスーパー、職場では、エレベーターやエスカレーターを使わず、3階分ぐらいは階段を使い、自分の足で昇り降りすることを心がけましょう。
階段を昇り降りする動きは、腸腰筋全体を鍛えます。特に下りは効果的。「ひざが悪くて階段はちょっと……」という人は、無理せず軽いウォーキングでもOK。
②目標は1日9000歩!ながらウォーキング
毎日歩くだけでも腸腰筋は鍛えられます。1日の目標は9000歩。距離にすると4~5㎞です。わざわざウォーキングの時間をとるまでもなく、歩いて買い物に行く、仕事に行くときは一駅分歩く、まわり道をして用事をすませるなど、「ながらウォーキング」をすれば、無理なく習慣化できます。
歩くときは背筋を伸ばして、テンポよく。ときには早足で歩いてみましょう。
③「スクワット」で便を押し出す力をつける
腸腰筋を効率よく鍛えるには、両足を広げて体を上下させるスクワットもおすすめ。より便を押し出す力がアップし、便秘解消につながります。
スクワットは、上半身が前のめりにならないように注意。慣れたら腰を深く落とした姿勢のまま、腰をひねると、さらに効果アップ。スクワットしながら歯磨きをするなど、日常生活に取り入れるのも手です。
<スクワットのやり方>
Point 上半身が前のめりにならないように!
【1】両足を広げる。肩幅の2倍程度が目安。
【2】 90度になるようにひざを曲げて、腰を深く落とす。これを10回繰り返す。
④「腹式呼吸」でインナーマッスルを動かす
ストレスを抱えていると、呼吸が浅くなったり、全身の筋肉が緊張して体が縮こまりがち。そんなときは、深呼吸してリラックスした状態に戻しましょう。
へそから5㎝くらい下で、おなかの中へ向かって5㎝ほど奥にある「丹田」を意識しながら、おなかをへこませて息を吐き、吐ききったら鼻から息を吸い込んで、おなかにためる。これを繰り返すと、リラックスできるのはもちろん、インナーマッスルも鍛えられ、便を出す力がつきます。
⑤お風呂から上がったら「ねじりのポーズ」
入浴後、程よく体が温まったタイミングでストレッチをすると、副交感神経の働きが高まり、寝つきがよくなります。
すすめたいのは、寝た姿勢で腰をねじる「ねじりのポーズ」。呼吸しながら、こわばりを感じるところを気持ちよく伸ばしましょう。腰をねじるときは、両肩が床から離れないように気をつけて。寝る前のルーティンにすれば、睡眠中に腸の動きも活性化され、翌朝はスルンとうんちが出るでしょう。
次回は、腸活を取り入れた「理想の1日の習慣」について、みていきます。
※この記事は「健康」2024年春号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
監修者
辨野腸内フローラ研究所 理事長 辨野義己
べんの・よしみ●一般財団法人「辨野腸内フローラ研究所」理事長、国立研究開発法人理化学研究所名誉研究員、十文字学園女子大学客員教授、日本微生物資源学会名誉会員。半世紀にわたって腸内細菌の分類と生態に関する研究を続けている。『最高の睡眠は腸活で手に入る』(扶桑社)など著書多数。