佐野の石川さん、消防団に入団 現役高校生は県内初 「災害、救助現場学びたい」と意欲

金子市長(右端)、谷市消防団長(左端)と握手する石川さん

 佐野市の金子裕(かねこゆたか)市長は1日の定例記者会見で、市消防団本部分団に市在住の佐野日大中等教育学校6年(高校3年相当)石川莉子(いしかわりこ)さん(18)が入団したと発表した。市によると、現役高校生が消防団に入団するのは県内初だという。看護師としてドクターヘリに乗り、患者のもとに駆けつけるフライトナースを目指す石川さん。「消防団員として災害、救急現場について学びたい」と前を見据える。

 石川さんは2年前の夏、東日本大震災の被災地、宮城県石巻市の大川小を初めて訪れた。「つらいけど前を向いて歩き始めている」という現地の人の言葉に、自分も災害支援に取り組む人になりたいという思いを強くするとともに、消防団への入団を志願するようになった。

 4月に入団資格を得る18歳となり、今月1日付で満を持して入団。平時は防火講習や火災予防広報などを担当。災害時は安全が確保された場合、活動補助などに従事する。

 同日、佐野市役所で辞令交付式が行われた。谷和文(たにかずふみ)市消防団長から辞令を受け取った石川さんは「看護学部のある大学に進学を考えている。進学後も(消防団の)活動を続けたい」と話した。金子市長は「市として、これからもしっかり応援していく」と激励した。

 市消防本部によると、1日時点の団員数は576人で、女性は石川さんを含め10人。条例定数(742人)に対する充足率は77.6%にとどまる。平均年齢は43.3歳と10年で4歳超も上昇し、団員減少と高齢化が喫緊の課題だ。石川さんの入団で市は、若年層や女性の入団促進に期待を寄せる。

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