〈ガルガンチュア音楽祭〉地震発生時刻、祈りの歌声 米合唱団「ふるさと」鼓門響く

地震発生時刻に合わせ、能登への祈りの歌声を披露するロジェ・ワーグナー合唱団=1日午後4時10分、金沢駅の鼓門

  ●聴衆、震災4カ月の能登思う 

 地震発生時刻の午後4時10分、能登への祈りを込めたゴスペルが、県都の玄関口に厳かに響いた。能登半島地震発生から4カ月を迎えた1日、金沢駅の鼓門で、ガルガンチュア音楽祭(北國新聞社特別協力)に出演する米国の名門ロジェ・ワーグナー合唱団が「ふるさと」などを日本語で熱唱。大型連休を利用して訪れた観光客らが、心を一つに能登に思いを寄せ、一日も早い日常の回復を願った。

 鼓門には、ロジェ・ワーグナー合唱団の16人が集結。「故郷の人々」などフォスターの名曲をはじめ、「上を向いて歩こう」「ふるさと」を日本語で歌い上げ、道行く人が温かいハーモニーに聴き入った。

 「歌声で被災者を支援したい」。駅での公演は、合唱団が音楽祭実行委に申し入れ、急きょ開かれた。津幡町井上小へも慰問公演に訪れ、500人を超える聴衆に歌声を届けた。

 団員のソプラノ、ジュリア・ホヮンさんは、英BBC放送で地震を知り、犠牲者の多さに心を痛めていたという。披露した「ふるさと」は歌詞の意味も知っている。「歌うと胸が痛んだが、歌の力で癒やしが届けられたのなら本望。能登の人たちには体を大事にしてほしい」と語った。

  ●ゴスペル公演へ

 団員は2日も金沢市内で慰問公演を行う。3日は県立音楽堂邦楽ホールでのアメリカ音楽史をたどる公演、4日は北國新聞赤羽ホールでのゴスペルの公演で北陸の合唱団と共演する。

 

  ●「珠洲」「珈琲」で即興演奏 作曲家ら、舞台で味わい 北國新聞赤羽ホール

 北國新聞赤羽ホールでは、作曲家の創作の瞬間に立ち会える「作曲家たちのひらめき大会」が開かれ、被災した珠洲市飯田町の「二三味(にざみ)珈琲(コーヒー)」の味から発想した即興演奏が会場を沸かせた。

 舞台上で珈琲が抽出される中、作曲家の宮川彬良さん、新垣隆さんが音を紡いだ。珈琲を味わった音楽祭実行委員会長の池辺晋一郎さんは「珠洲」にちなんで鈴(すず)の音色で始まり、楽曲「コーヒー・ルンバ」を織り込んだピアノ曲を奏で、聴衆を能登へ誘った。

 司会の加羽沢美濃さんを含めた作曲家4人は音楽祭のテーマである米国、英国風のアレンジや、初見連弾も披露した。金沢出身のピアニスト、竹田理琴乃さんがアレンジ前の原曲を模範演奏した。会場で喫茶グライダー(金沢市)が二三味珈琲を提供した。

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