那須雪崩事故、栃木県高体連が責任を明記 再発防止と反省を文書化

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高山岳部の生徒7人と教諭1人が死亡した那須雪崩事故を巡り、栃木県高校体育連盟(高体連)が事故の反省と再発防止の取り組みを記した文書を作成したことが3日、県高体連への取材で分かった。事故の責任は講習会を主催し主管者だった県高体連にあると明記。計画全体のマネジメントと危機管理意識の欠如が事故の背景にあったとし、安全対策を不断に見直すことなどを示した。

 雪崩事故を受け、県高体連は21年7月にも「高体連登山専門部の組織としての反省と今後の在り方」とした文書をまとめている。今回は、一部遺族が損害賠償を求めた民事訴訟で県高体連や県に計約2億9千万円の支払いを命じた宇都宮地裁判決が23年7月に確定したことから作成した。

 文書では事故の反省として「事前の計画が危機を想定しているとは言い難く、不十分」「教員間での協働意識や共通理解が不足していた」などと明記。事故の7年前に講習会で遭っていた雪崩が報告されていなかったことを踏まえ「振り返り・改善が不足していた」とした。

 再発防止の取り組みとしては事故の風化防止やコンプライアンス(法令順守)の徹底など7項目を記した。安全への対応力向上を目指して、県高体連の各専門部の研修を充実させることも記載した。

 県高体連の鯉沼夏樹(こいぬまなつき)理事長(49)は「反省し、事故を風化させないためにまとめた。二度と大きな事故を起こさないという使命感を持って安全対策に取り組む」と話した。

 文書は4月までにまとめたという。県高体連とともに、事故の責任があると認めた県高体連登山専門部は、指導教員の不足などを要因に24年度から活動を休止している。

 事故の反省や再発防止策を巡っては、県教委も民事訴訟の判決を受けて文書を作成し、3月に公表している。

© 株式会社下野新聞社