【ガーデニング】初心者でも育てやすく料理に活躍するハーブの寄せ植え

「ハーブを手軽に楽しむには、一つの鉢に数種類の苗を植える【寄せ植え】がおすすめ」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。ガーデニングが楽しい初夏、ホームセンターなどで苗を入手し、寄せ植えしてみませんか? ここでは料理に活躍するハーブの寄せ植えをご紹介します。

桐原春子さんのその他の記事はこちら。

ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!

「ハーブ」とは、人の暮らしに役立つ植物のこと。丈夫なものが多く、気軽に育てられるのも特徴です。

そんなハーブを手軽に楽しむには「一つの鉢に数種類の苗を植える寄せ植えがおすすめ」と話すのは、園芸研究家の桐原春子さん。

「一般の家庭では、1種類を植えてたくさん収穫するより、数種類を少しずつ植え、いろいろな用途に利用するほうが使いやすいし、楽しみも広がります。料理用、クラフト用などと用途別に作っておくと便利ですよ」

寄せ植えは葉色や花の重なりが美しく、見るだけでも心が癒やされますが、次々と収穫しながら育てていくのが栽培のコツ。

「ハーブがあると暮らしがワンランクアップします。私も育てたハーブをどう活用しようかと、四六時中、考えていますが、それがまた楽しいんです。自由な発想でハーブを使いこなしてみてください」

料理に活躍するハーブの寄せ植え

新鮮なハーブを食べたいとき、さっと使えるのは贅沢でうれしいものです。「これさえあれば、料理はOK!」という8種類のハーブの寄せ植えを、桐原春子さんに提案していただきました。

どれも育てやすく、入手も容易です。一、二年草のハーブは寒さとともに枯れたら、取り出します。多年草や低木のハーブはそのまま育てられますが、ローズマリーは大きく茂るので、数年たったら別の鉢に移すか、地植えにするとよいでしょう。

ハーブ苗の配置図

鉢の大きさ/直径40㎝×高さ17㎝

各ハーブの紹介

【A】イタリアンパセリ

セリ科の二年草。
葉は平らで、縮れ葉のパセリより香りがマイルドで食べやすい。
ベータカロテン、ビタミンC、鉄分を多く含み、葉は生でサラダやスープ、料理の彩りに、茎はブーケガルニなどに利用。

【B】コリアンダー

セリ科の一年草。別名シャンツァイ、パクチー。
全草に独特の強い香りがあり、エスニック料理でおなじみ。消化促進、整腸作用があるとされ、葉や根を料理に使う他、種はスパイスに利用。

【C】スイートバジル

シソ科の一年草。別名バジリコ。
つやつやとした緑の葉や茎に甘く強い香りがあり、東南アジアや南イタリアで、料理やソースによく利用される。
寒さに弱いので、苗は5月中旬過ぎに植えつけると安心。

【D】タイム

シソ科の常緑小低木。
葉に強い香りがある。
防腐、殺菌、強壮作用があるとされ、ヨーロッパでは料理やティー、ブーケガルニの材料として古くから利用されてきた。
初夏に咲くピンクの花も愛らしい。

【E】チャービル

セリ科の一年草。別名セルフィーユ。
葉に細かい切れ込みが入る。
見た目はパセリに似ているが、香りはより穏やかで、「美食家のパセリ」とも呼ばれる。
初夏には白い小花が束のようになって咲く。

【F】ディル

セリ科の一年草。
青みをおびたふわふわとした繊細な葉が印象的で、夏に黄色の小花を傘状に咲かせる。
葉や茎にはさわやかな風味が、種にはピリリとした辛みがあり、魚料理や酢との相性がよい。

【G】ルッコラ

アブラナ科の一年草。別名ロケット。
ごまの風味とかすかな辛み、苦みがあり、ビタミンC、ベータカロテンが豊富に含まれる。
栽培が容易なうえ寒さにも強く、暖地では緑の葉が冬でも茂る。

【H】ローズマリー

シソ科の常緑小低木。
清涼感のある強い芳香があり、防腐、殺菌作用にすぐれるとされ、肉料理やブーケガルニの材料に利用。
青紫やピンク、白の小花も美しく、庭の彩りとしても長く楽しめる。

病害虫知らずで育てるポイントは?

ハーブを栽培する際には、できれば農薬は使いたくないものです。そのためには、丈夫に育てることが大事!

まずは、清潔な土に植え、そして、日光と適度な風によく当てます。適度な水やりも大切です。

病気や害虫による被害を発見したら、被害を受けた枝ごと切り取り、拡散を防ぎます。

苗の植えつけ方法

葉がいきいきとした元気な苗を求め、市販の培養土で植えつけます。農薬を使っていない苗か、使用量が少ない苗を求めると安心です。

培養土には肥料が入っているので植えつけ時の元肥は不要です。

鉢に鉢底網、鉢底石、培養土の順に入れ、ポットから抜いた苗を置きます。背の高いものは後ろに、低いものは手前に配置するのが原則。

残りの土を鉢の上部から2~3㎝のところまですき間なく入れ、軽く押さえます。最後に水を十分に与えます。

【ポイント】
害虫の侵入を防ぐため、鉢底には鉢底網を敷くこと。
その上に、水はけをよくする鉢底石やゴロ土などを網が隠れる程度敷いてから培養土を入れます。

日常のお手入れ方法

鉢は日照と風通しがよく、雨が当たらない場所に置きます。地面に直接置くより、レンガなどの上に置いたほうが風通しがよくなり、病害虫の被害も少なくなります。

水やりは鉢土の表面が乾いて白っぽくなったら、たっぷりと与えますが、猛暑の時期には1日2回、必要なことも。鉢受け皿に水をためておくのは、根腐れの原因になるのでやめましょう。

肥料は有機質肥料などを、書いてある分量と用法を守って与えます。

収穫の仕方

株全体の生長の様子を見ながら、必要な分だけを適宜、収穫します。茂りすぎたら、収穫を兼ねて枝をすかします。株の外側の枝から摘むのが基本ですが、葉を1、2枚使う場合は、枝の左右に葉が出ている節の上にはさみを入れます。

たくさん収穫したときは、室内の風通しのよい場所で2週間ほど乾燥させ、ドライハーブを作っておくと便利です。

【ポイント】
バジルの葉の収穫。葉のつけ根にわき芽が出ているので、その上5㎜で切り、上の葉を収穫します。
こうすることで、わき芽が伸びて株が育ちます。

この記事を参考に、料理に活躍するハーブの寄せ植えをぜひ作り、育ててみてください。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2016年6月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

※2023年5月19日に配信した記事を再編集しています。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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