脳がバグる“アニメ塗り”フィギュアがすごい! 驚異のビフォーアフターを刮目せよ

2次元のイラストなのか、はたまた3次元の立体物なのか──。

脳が誤認識を起こしてしまう、“アニメ風の塗り方”のフィギュアが話題になっています(はじめに言っておきますが全部フィギュアです!)。

4月30日、クリエイターのリペラボさんがXにフィギュアの画像を投稿すると大反響。後日公開した動画も話題を呼んだだけでなく、すでに企業からも声がかかっているとか。

僕のヒーローアカデミア』の人気キャラクター・トガヒミコが、アニメの中から現実に飛び出してきたような存在感。元になったフィギュアをアニメ風にリペイントする、通称・“アニメ塗り”が施されています。

何度見てもすごい、何度見てもイラストのように見える……一体どうやって完成されたのか? リペラボさんにお聞きしました。

“アニメ塗り”のフィギュア「トガヒミコ」完成までに平均3時間×約2ヶ月半

──フィギュアをアニメ風に塗り始めたのはいつ頃から、何がきっかけだったんでしょうか?

リペラボ 塗り始めたのは2022年5月頃です。アニメ塗りを初めて知ったのは、YouTubeでたまたま流れてきたMAマンさんの動画です。初めて見た時はびっくりしました。

それまでの私はフィギュアにそれほど興味を持っていませんでしたが、MAマンさんの動画を見て、自分でも塗ってみようと思いました。

──なるほど。

リペラボ 少し調べてみると、趣味として始めるには初期投資の費用が安いことも大きな要因でした。1万円以下でアニメ塗りに必要なほぼ全ての道具が入手できます。

──フィギュアの着色をひとつ終えるまでにはどれくらいの時間がかかっていますか?

リペラボ ひとつの着色を終える時間は、フィギュアの大きさや面積によって大きく変わるので、具体的な時間は……難しいですね。トガヒミコは1日の仕事終わりに平均して3時間かけて作業して、それを約2ヶ月半続けました。

こだわりは「正面から見た時に最も絵に見えるように塗る」

──制作する際に気をつけていることはありますか?

リペラボ 私はフィギュア塗装を始めてまだ2年と日が浅く、毎度塗り終わっては反省することが常です。その反省を次回に活かし、改善することを心がけています。

具体的には、アニメのキャラクターとほぼ同じ色味に見えるように塗料を調色したり、ベース色と影色の境目の線や、墨入れ(黒線)が太くなったり細くなったりしないよう気をつけています。また、きれいな曲線や直線になるように意識しています。

──制作のこだわりについても教えてもらえますか?

リペラボ フィギュアは飾る角度を正面と決めてます。正面から見た時に最も絵に、二次元に見えるように塗っているんです。アニメのキャラクターとほぼ同じ色味にするのもこだわりのひとつです。例としては、肌色はキャラクターによって色味を調整しています。

『ドラゴンボール』のキャラクターであれば、孫悟空とクリリンはピンク寄り、ブルマや孫悟飯は彩度を少しだけ低く、ベジータはオレンジっぽく、スーパーサイヤ人はまたガラッと変わります。

──というと?

リペラボ これはアニメ『ドラゴンボール』と『ドラゴンボールZ』で設定されたであろう肌の色を参考にしていて、原作の色味とは異なります。

どのキャラクターにもある当たり前の肌の色ですが、塗料で調色するのは、初心者では意外と難しかったりするんです。

アニメ調の色味がアニメ塗りのポイント

──なるほど。では、3次元のフィギュアを2次元の絵のように錯覚してしまうのはアニメ調の色味や、フィギュアの輪郭をなぞるように付いている陰影によるものなのでしょうか?

リペラボ フィギュアをイラストと錯覚してしまう理由については、人によって様々な意見があると思います。私の意見としてはアニメ調の色味、まさにその通りです。

アニメに登場するキャラクターは、光が当たっている箇所と、光が当たっていない影となる箇所の2色。ないしは、深い影のある3色に分けて描かれていることが多く、そのメリハリのある色分けが理由だと思います。

──そのアニメ塗りについて教えるイベントを、秋頃に開催予定とのことですが、どのような内容になるのでしょうか?

リペラボ フィギュアへのアニメ塗りの趣味を広めたい、深めたいとの思いで開く、リペイント教室なるイベントです。

私が講師となり、参加者様にリペラボ独自の塗り方・技術をほぼ全てお伝えします。紙、PDF、動画、Zoom、YouTubeを使った座学と実技をご提供します。

第1回はアンケートも取り、ありがたいことに大変好評でしたので、次回の開催は秋頃に実現したいと考えています。

リペラボ 今までは100%趣味の範囲でアニメ塗りをしていたので、自由に開催していましたが、今回のトガヒミコの反響により企業様からお仕事のお声がかかりましたので、今後どのように時間がとれるかで開催の可否が決まります。

今のところは開催できると思っていますが、参加者様が十分に集まればのお話しでもあります。

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