「ヤングケアラー」支援強化にコーディネーター3人 県が配置

県内の実態把握に向け、各市町村への訪問状況などについて打ち合わせをするヤングケアラー・コーディネーターの3人=山形市・県地域包括支援センター等協議会

 県は本年度、大人に代わり日常的に家事や家族の世話を担っている「ヤングケアラー」の支援体制強化に向け、市町村への助言や情報提供などに取り組む「ヤングケアラー・コーディネーター」3人を配置した。福祉、介護、教育といった各分野の関係機関との連携を強固に築き、早期発見と適切な支援につなげる。

 ヤングケアラーが抱える負担は、障害や病気のある家族の看病、家事全般、家計を支える労働など多岐にわたり、学業や友人関係、健康状態への影響が懸念される。一方で本人が「家族を手伝うのは普通のこと」と過度な負担に気付いていなかったり、家族の病気や障害を知られたくないために相談を諦めたりといったケースも多く、実態把握が困難とされる。

 こうした現状を踏まえ、県は行政や支援機関が積極的に働きかけて情報・支援を届ける「アウトリーチ」強化を図る。コーディネーターは県地域包括支援センター等協議会(山形市、峯田幸悦理事長)に委託し配置する。務めるのは、社会福祉士、介護支援専門員などの資格を持つ女性3人。ヤングケアラーについて知ってもらう普及啓発、各地域の実態把握、適切な支援につなげるため関係機関に対する助言、研修会の企画・運営などに取り組む。

 今月から本格的に事業に着手した。各市町村の児童福祉担当部署、教育委員会などを訪問し現状の支援体制の課題を洗い出し、先進地域の事例調査などを行っている。子育て支援や子どもの居場所づくりに取り組む民間団体に働きかけて、ヤングケアラーへの対応状況を確認し、市町村とのマッチングや支援の担い手の掘り起こしにつなげる。

 コーディネーターで統括役の橋本晶子さんは「当事者に近い教育や介護の現場での気付きを促すため、ヤングケアラーの実態や介護負担を軽減する制度などの周知が大切」と強調する。支援の仕組みや国の補助事業などの問い合わせは同協議会023(666)7077で受け付ける。

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