「森のホタル」かれんな光 雌は羽が退化、陸で一生過ごすヒメボタル 兵庫・川西市

暗い森の中を飛び交うヒメボタルの瞬き=川西市加茂2(3分間露光)

 陸で一生を過ごし「森のホタル」と呼ばれるヒメボタルが、兵庫県川西市南部の加茂地区で盛んに飛び交い、竹やぶの暗がりに黄金色のかれんな光を瞬かせている。

 ヒメボタルの幼虫は陸生貝類のキセルガイなどを餌とし、湿り気のある土壌を好む。成虫は体長6~10ミリほどで、短くちかちかと光を放って交信する。

 中心市街地に近い加茂地区では、市民団体「川西自然教室」が1995年に出現数調査を始め、現在も9カ所で毎日続ける。今季は例年より早く5月2日から確認され、15日ごろにピークを迎えた。今月いっぱい見られそうだという。

 雌は羽が退化して飛べないため、一度狭まった生息地が広がることはない。川西自然教室の平田信活さん(65)は「住宅の開発などでずいぶん減ってしまった。街の中の貴重な自然に目を向けた政策を」と訴えている。(吉田敦史)

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