右肩上がりに増えるすい臓がん、著名人も闘病 手術の可否が鍵…薬も飛躍的に進歩 戸田で治療の最前線紹介

「早期治療開始で肝・胆・膵がん攻略を」と呼びかける戸田中央総合病院外科の瀧下智恵医師=18日午後、戸田市本町の戸田中央病理診断科クリニック

 戸田中央総合病院の市民公開講座が18日、埼玉県戸田市本町の戸田中央病理診断科クリニックで行われ同院外科の瀧下智恵医師が「難しい肝・胆・膵(すい)がん攻略に挑む外科治療の最前線」と題し講演した。瀧下医師は「必要に応じセカンドオピニオンも求め、肝・胆・膵がんはとにかく早期に治療を開始したい」と述べ、早期治療開始の重要性を強調した。

 講座は約100人の市民らが聴講。瀧下医師は肝臓がん、胆道がん、すい臓がんの基本的知識や治療法、部位別の罹患(りかん)数や死亡数についてもデータを交え解説した。自身が取り組むすい臓がんの啓発と撲滅を目指す紫の「パープルリボン」活動についても触れ「皆さんにまずは知ってもらうことが大事。啓発により早期発見、終わらせることにつなげたい」と述べ、啓発活動の必要性も訴えた。

 すい臓がんについては今も治りにくいがんであり、部位別の死亡数・罹患数についても「右肩上がり」で、著名人が罹患、闘病していることも説明。症状が出てから発見されるケースが多く早期発見が難しいことや周囲の主要血管に浸潤しやすいこと、遠隔転移しやすい難治がんであることから「ステージよりも手術(切除)できるかどうかの方が重要」と指摘した。

 一方で再発防止のため手術後に抗がん剤による化学療法(全身治療)を行うことで大幅に予後が改善されることや、「飛躍的に抗がん剤が進歩している」ことも説明。手術を大前提としつつ、治療には食べることや歩くことなど、体力、筋力の維持が大事であるとも呼びかけた。

 瀧下医師は同院が2012年11月に県内で初めて導入した「ダビンチ」によるロボット支援手術の優位性や各科の連携についても説明。「がんと診断されたら家族や親しい人に相談し、情報を集めてほしい。医師の治療方針については、持ち帰って改めてでも聞いていただきたい。治療を前提に、必要に応じたセカンドオピニオンもあり。治療は患者さんやご家族がベース。医師に相談してほしい」と述べた。

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