埼玉だけ唯一“100年間”ずっと人口増も…ついに減少 今後54市町村で人口減となる推計、さいたま市など9市町のみ増加 模索する官民 東京隣接の県南エリアも、10年以内に減少か

官民連携で協議会 県内移住・定住促進へ

 埼玉県・市町村と鉄道などの民間事業者は31日に、移住・定住の促進に向けた官民連携協議会を設立する。同日さいたま市内で設立総会を開き、民間からは鉄道事業者のほか不動産・住宅関連団体、金融機関、観光団体が参加する。約100年間にわたって47都道府県で唯一、人口が増え続けていた埼玉県も、2021年を境に人口減に転じた。今後も人口減少が見込まれる中、県などは協議会で効果的な施策を模索していく。

 県の人口は20年に734万5千人を記録して以降、734万人(21年)、733万7千人(22年)、733万1千人(23年)と減少傾向にある。転入による社会増加が続く一方、死亡による自然減が社会増を上回るペースで増加しているのが要因だ。

 現在は比企・秩父エリアを中心に人口減少が進んでいるが、東京都に接する県南エリアでも10年以内に人口減少が始まると見込まれている。国立社会保障・人口問題研究所の調査は、20年と比較した50年の人口指数において、県内では54市町村で人口が減少すると推計し、増加はさいたま市など9市町に限られた。

 移住者の呼び込みとして、県ではこれまでも、県・市町村の移住関連情報を集約したポータルサイトや移住ガイドブックを通じた情報発信、市町村と連携した移住セミナーの開催などに取り組み、民間と連携したセミナーやイベントも行ってきた。

 これまでの官民連携は個別、単発的な実施に限られていたが、協議会の設立で業種や分野を超えた広範にわたる企画をワンチームで展開しやすくなることが期待される。県としては鉄道沿線ごとに地域の魅力を紹介する企画などを提案していく。

 また、県がJR有楽町駅前に開設している移住サポートセンターで22年度の相談内容として「住まい」に関する相談が最も多かったことから、不動産・住宅関連団体と連携し、移住後の住まいを紹介する体制の構築についても、関係団体に協力を呼びかけたい考えだ。

 官民連携協議会は全体会議を年1回開催し、このほか官民連携部会、市町村部会、県庁部会を必要に応じて行うとしている。

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