ホタルイカ水揚げ最多 地震影響なし、富山湾で歴史的豊漁 水温、海流原因か 県水産研まとめ

大量に水揚げされたホタルイカ=4月、射水市の新湊漁港

  ●3997トン、92年を上回る

 富山湾のホタルイカの水揚げ量が今年、過去最多を更新したことが富山県水産研究所のまとめで分かった。これまでは1992(平成4)年に記録した3895トンだったが、今年は10日時点で3997トンと既に上回った。研究所は豊漁の要因について、漁場の水温などがホタルイカが生育しやすい環境となったり、海流の影響で富山湾に入り込みやすくなった可能性があるとしている。

 ホタルイカは氷見や新湊など呉西から滑川、魚津といった呉東の漁場まで県内全域で獲れ、3~5月が漁期の中心となる。今年の県内水揚げ量は3月が1153トンで平年の381トンを大きく上回り、4月は2606トンと平年の4倍以上となっていた。5月に入っても水揚げ量は衰えておらず、10日時点で235トンとなっている。県水産研究所では、昨年春に生まれたホタルイカが生息環境に恵まれ、多く生き残ったかもしれないとみている。

 富山湾のホタルイカは、ほかの地域と比べ、沖合に近い定置網で漁獲するためより新鮮な点が特長となっている。漁業関係者の間では当初、昨年の不漁に続き、今年も地震の影響による不漁を危惧する声が上がっていた。沖合の定置網が地震で破れるなど不安を抱えた中での漁だったが、ふたを開けてみれば記録的な豊漁となった。

 新湊沖で定置網漁を行う「恒久丸」乗組員の岩脇俊彦さんは「今までに経験したことがないほどの豊漁だった。多すぎて値段が付かないほど安くなったこともあるが、不漁になるよりはいい」と振り返った。

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