KADOKAWAが宇都宮の企業を子会社化 障害者が高級卵生産 多様性ある雇用を推進

ウィン社が平飼いで育てる純国産鶏「もみじ」=真岡市

 出版や動画サイト運営などのKADOKAWA(東京都千代田区、夏野剛(なつのたけし)社長CEO)は、障害者支援施設運営や鶏卵生産販売などを行うWin Graffiti(ウィン・グラフィティ、宇都宮市清原台6丁目、島田利枝(しまだりえ)社長)の株式を取得し完全子会社化した。KADOKAWAは新たな価値創造への挑戦のためだとしており、障害者を含めた多様性のある雇用モデルを推進する。

 ウィン社は2014年に設立し、障害者支援施設「わらくや」(真岡市下籠谷)などを運営。従業員25人のうち、障害者が15人を占める。19年からは、希少な純国産鶏「もみじ」を飼育。1個390円の「箱庭たまご 茜(あかね)」を中心に、高級卵を生産販売する。

 KADOKAWAは総合エンターテインメント企業として、従業員の創造力などを発揮できる環境や制度の整備を重視してきた。19年にはコーヒー豆の焙煎(ばいせん)・販売などを手がける特例子会社を設置するなど、障害者雇用も積極的に行っている。

 KADOKAWAがウィン社を知ったのは、高級卵がきっかけ。鶏卵事業を中心に、付加価値の高い作業に障害者が主体的に関与できるスキームが確立されていることに関心を持ち、「事業として成立しうるサステナブルな障害者雇用」として注目した。

 子会社化について、KADOKAWAは「上場企業の障害者雇用に対する向き合い方のモデルケースになるよう努めるとともに、グループの新たな価値創造に資する取り組みに挑戦していく」としている。

 島田社長は「障害者の皆さんが生き生きと働いているのを認めていただいた。一般雇用の道が広がると喜んでいる」と歓迎した。

© 株式会社下野新聞社