福井の鉄道史紡ぐ写真集を8月出版、南正時さん集大成 蒸気機関車や特急雷鳥…えりすぐり80点

JR北陸線の通称「鳩原ループ」で特急雷鳥同士が立体交差する光景をとらえた1988年の作品。写真集に収録する予定(©︎masatoki minami)
福井の鉄道をテーマにした写真集を発刊する南正時さん

 児童書「鉄道大百科」シリーズで知られる福井県越前市出身の鉄道写真家、南正時さん(77)=東京都=が8月、福井の鉄道史をえりすぐりの作品とエッセーで振り返る写真集を発売する。出版元の福井新聞社などでつくる実行委員会は制作費の一部をクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」で募っている。

 中学卒業まで県内で過ごした南さんは17歳で鉄道写真の魅力に目覚め、フリーカメラマンとして数々の書籍、写真集を発表。毎年福井に戻り、四季折々の風景の中を走る列車をフィルムに収めてきた。

 写真家人生60年の集大成と位置付ける今回の写真集は、県内を舞台にした約80点を厳選した。旧国鉄時代の越美北線の蒸気機関車、廃線となった福井鉄道南越線、かつて県内を行き来した急行など多彩な列車を掲載。構図にもこだわり、JR北陸線の通称「鳩原ループ」(敦賀市)で特急雷鳥同士が立体交差する珍しい場面(1988年)や、旧国鉄時代の武生駅で急行兼六と「デゴイチ」ことD51形蒸気機関車が並ぶ光景(71年)は「中高年や鉄道ファンにぜひ見てもらいたい」(南さん)という自慢の作品だ。

 CFでは寄付額に応じてサイン入り写真集などの返礼があり、3万円以上のコースでは福井鉄道と連携し南さんとの同行ツアーを用意。貸し切り列車で福武線を走り、司令室や車両工場の見学、運転士の模擬体験などを楽しめる。旧北陸線の廃線跡などを巡る1泊2日の特別ツアーも設ける。寄付目標は150万円。締め切りは6月16日午後11時まで。

 南さんは北陸新幹線にも関心を寄せ、昨年10月には敦賀開業に向けた試験走行の歓迎式典に参加し、新幹線車両「W7系」を撮影。開業日にも沿線で撮った写真と合わせて盛り込む予定という。南さんは「福井の美しい自然は列車との相性が良く、特に越美北線沿線は日本屈指の景観だと思っている。鉄道写真を通じて全国の皆さんに福井の良さを伝えたい」と話している。

 写真集は8月8日発売予定。AB判108ページ、税込み3850円。

 ◇ミラカナとは 福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして福井新聞社、福井銀行、福邦銀行が連携。CFのレディーフォー、応援購入サービスのマクアケいずれかを通じて支援・購入を募る。累計支援額は2億1千万円、プロジェクトの達成率は91%(数字は2023年末時点)。

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