Vol.79 DJI Power1000ドローンメーカーが作る高性能ポータブル電源は仕事でもプライベートでもフル活用![Reviews]

アウトドアに災害対策など、いろいろな場面で活躍するポータブルバッテリー。ドローン飛行の現場に持っていく方も多いかと思います。そのような中、ついにドローンメーカーDJIからも高性能なポータブルバッテリー「DJI Power1000」と「DJI Power500」が登場しました。その中でも容量1024Whを誇るDJI Power1000をさっそく試してみたいと思います。

DJI Power1000の特徴

DJI Power1000の魅力は、何と言ってもあのドローンメーカーDJIが開発しているところ。ドローンに搭載されるバッテリーはどれも高性能・高出力・高容量で、その開発技術が存分に生かされた製品と言えます。

主な特徴は下記の通り。もしポータブル電源を持っていない中で購入を検討しているのならば、即購入してよいレベルのスペックです。

  • 容量1024Whの高容量バッテリー
  • 最大連続出力電力2000W(100V)
  • LFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)を使用し安全かつ長寿命(4000サイクル)
  • AC出力×2、USB-C(最大140W)×2、USB-A(最大24W)×2、SDC×1、SDC Lite×1、AC入力×1
  • 最速約70分で充電完了
  • DJIドローンのバッテリーを10%⇒95%まで約30分で急速充電するSDCポート

なかなかイメージがつきにくい方には、とある有名ポータブル電源メーカーの同クラス製品との比較をするとDJI Power1000がいかに安価かつ高性能なのかがわかるかと思います。

DJI Power1000の外観チェック

では、実際にどのようなものなのか、外観をチェックしていきたいと思います。

中央に液晶パネル、左側にAC出力×2、中央下にUSB-A×2 / USB-C×2、右側にSDC×1 / SDC Lite×1とAC入力(充電用)のポートを備えます。

AC出力は2つ備えます。本体の電源を入れたあと、ACポートの下にある「AC」を長押ししてAC電源のスイッチを入れることで使えるようになります。

USBポートは、USB-Aは最大24W、USB-Cは最大140Wという大出力を誇ります。特にUSB-Cの140Wはなかなか見ないスペックです。140Wのスペックを活かすには、給電する対象のポートとケーブルが対応している必要があります。

※充電するデバイスがPD 3.1プロトコルに対応し、EPR(拡張電力域)の仕様に合致したUSBケーブルを使用する必要があります。

中央の液晶パネルは明るく屋外でも見やすいもの。DJI Power1000本体の残量は出力中の電力などが文字も大きいのでひと目でわかります。

AC入力ポートはひとつですが、600Wと1200Wを選択できるようになっています。600Wで充電すると0%⇒100%まで約110分程度でした。1200Wを選択することで約70分の充電時間を実現しますが、本体バッテリーの寿命を縮めることもありますので、通常時は600Wを選択するのがベターです。

ドローンメーカーDJIがポータブル電源を作る意味はここにある…とばかりに、ドローン用バッテリーの急速充電用ポートが備えられています。端子が特殊なので専用ケーブルが必要ですが、30分前後で10%のバッテリーを95%まで急速充電できます(通常時は60〜70分かかる)。

ドローン用のSDC急速充電ケーブルは写真のような1本差しタイプ。DJI Inspire 3、Mavic 3シリーズ、Air 3、Matrice 30に対応しているほか、「XT60対応ケーブル」では12V DC出力を行うことができるため、模型航空機などのバッテリーのバランス充電器もしくはXT60コネクターを搭載したデバイスを接続することができます。

DCケーブルアクセサリには、ドローンの急速充電以外にもDJI Power1000本体を充電するためのソーラーパネルアダプターモジュール(中央)や車内電源ソケット(手前)などもあり、さまざまな目的に合わせられるよう拡張性が高くなっています。

バッテリー側面には放熱用の吸排気口があります。正面左側から空気を取り入れ、右側から排気をしているようです。吸排気口といえど、その音は驚くくらい小さいのが特徴です。

DJI Power1000を購入すると専用キャリングケースが付属します。キャリングケースは、モニター部や排気口部が窓のように開くので、ケースに入れたままDJI Power1000を運用できます。

DJI Power1000を実際に現場で使用感チェック

実際に少しハード目なドローン飛行の仕事があったのでDJI Power1000を使用してみました。機体はDJI Inspire 2とDJI Mavic 3 Proです。10分弱の飛行を繰り返す状況の仕事だったのですが、用意したバッテリー本数も限りがある中で、一部をDJI Power1000で再充電して使いました。その際の充電はInspire 2はAC出力から純正の充電ハブを2つ利用、Mavic 3 ProはUSB-Cから純正の充電ハブを接続して充電しています。

《充電対象バッテリー》

  • Inspire 2用バッテリー(TB50):AC出力を利用 消費電力量:97.58Wh(6S / 4,280mAh)※2本で1セット
  • Mavic 3 Pro用バッテリー:USB-C を利用 消費電力量:77Wh(4S / 5,000mAh)

※Inspire2用送信機

  • ・Cendense送信機及びCrystal Skyモニター用バッテリー(WB37):AC出力を利用 消費電力量:37.39Wh(2S / 4,920mAh)
各バッテリー

そして実際に充電した結果が下記になります。Inspire 2の残量にばらつきがあるのは、1飛行が約10分で40%前後のバッテリーを消費するので、60%前後の量のバッテリーは1飛行でバッテリー交換したもの、20%前後の残量のバッテリーは2飛行したのちにバッテリー交換をしたものです。 理論値やカタログ値的な話ではなく、実際にドローン利用現場でどうだったのか…を重視し、残量が半端な状態で着陸した機体のバッテリーをそのまま再充電しました。

《結果》

  • Inspire 2用バッテリー(2本1セット)×7セット充電完了!
  • Mavic 3 Pro用バッテリー×2本充電完了!
  • Cendense送信機及びCrystal Skyモニター用バッテリー×2本 ※WB37バッテリーの充電中にDJI Power1000のバッテリー残量が0%になった

飛行ミッションは半日程度のものだったので、上記の充電をしながら飛行ミッション中はDJI Power1000の充電が常に行われる状態でした。飛行ミッションが終了し、撤収をしているなかでDJI Power1000のバッテリーも0%になりました。

実際に仕事現場で使ってみての第一の感想は、屋内で電源を確保しているのと同じような状況で仕事ができた…ということです。ミッション全体のバッテリー残量をほぼ気にすることなく運用をすることができました。

また、DJI Power1000の静音性にも驚かされました。以前使用していたJ社のポータブル電源では、充電中にファンは常に回っており、鳥の鳴き声くらいしか音がない現場ではファンの音が気になっていました。しかし、DJI Power1000では、ファンが回ってはいるものの、音が静かなのでファンが回っていることにも気づかず、鳥の鳴き声のほうが気になるくらいでした。

今回は旧型のInspire 2を使い、Mavic 3 Pro用SDCケーブルは手持ちが無かったので急速充電のSDCポートを活用できなかったのですが、SDCポートを使えばさらに現場のでバッテリー運用には余裕ができることは間違いないでしょう。

そして、次の仕事が翌日だったので充電を急ぐ必要はなかったのですが、0%になったDJI Power1000を1200W充電したところ100%になるまでたったの64分でした。600Wに設定をすると約110分と表示されていましたので、それでも2時間かからずにフル充電できます。もし、午前中のミッションでDJI Power1000が消耗していたとしても、お昼休みにランチを食べながら1200W充電していれば80~90%は充電できそうです。

ドローンの仕事現場はもちろん、プライベートや災害対策にも

容量やドローンの急速充電機能を考えるとドローンの仕事現場(特にDJI製ドローン)では活躍すること間違いありません。バッテリー残本数に対しては、まるでAC電源をおさえた屋内環境のような安心感すら覚えます。特に、Inspire 3やMavic 3シリーズ、Air 3などのSDCケーブルに対応した機体を所有しているならばなおさらです。

また、キャンプや車中泊などのアウトドアシーンや、停電などの災害対策にもDJI Power1000の高容量・高出力機能は魅力的です。試しに600W電子レンジを動かしてみましたが、約1000WのAC出力で問題なく動作しました。

残る懸念は費用対効果ですが、冒頭に比較した通りメジャーブランドの同スペック品よりも安く、リン酸鉄リチウムイオン電池は4000サイクルに耐えることができ、期間で表すと寿命は10年にもなります。すると1年あたり11,440円。これはもう、"買い"なのではないでしょうか。

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