上桜田地区の原風景を残す 山形・芸工大生が住民と棚田の米作り

棚田に苗を手植えする東北芸術工科大生ら=山形市岩波

 東北芸術工科大(山形市)の学生たちが、大学のある上桜田地区の原風景を残そうと、地元住民と棚田の米作りに取り組んでいる。学生がデザインした米袋に入れたコメの商品化も検討しており、24日には田植えを行い、学生たちが住民らと交流しながら苗を手で植え付けた。

 瀧山(りゅうざん)(1362メートル)の麓に位置する同地区は元々棚田が広がる田園地帯だったが、1992年の同大開学を機に区画整理が進み、現在は大半が住宅地となっている。学生が足元の歴史を見つめ直し、かつての農村の暮らしを体験することで、残されている景観の保全につなげようと、地域コミュニティー再生を研究している同大企画構想学科の田沢紘子講師(地域づくり)のゼミ生が中心となって始めた。

 「ONE UP 上桜田」と銘打ち、「大学と地区、学生と住民の関係性を1段階深める」ことを目指している。この日は地区内の棚田を維持管理している滝山酒米研究会(鏡惣一郎会長)の協力を得て、同大近くの棚田に県産ブランド米「雪若丸」を手植えした。

 協働プロジェクトのリーダーを務める同学科3年酒井梨紗さん(21)=福島県伊達市出身=は「上桜田で学ぶ意義や価値を再認識し、学びを深める機会にしたい」、鏡会長は「若い感性で地区を盛り上げてほしい」とそれぞれ話した。

 学生たちは9月下旬~10月上旬に稲刈りを行い、稲ぐいにかけて天日で乾燥させた後、脱穀なども体験する。

棚田に苗を手植えする東北芸術工科大生ら=山形市岩波

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