外国人材活用、3割が前向き 県内農業法人対象に初調査、県が支援体制の充実図る

 農業現場での外国人材活用に向け、県が県内の農業法人を対象にしたアンケートの結果がまとまった。人手不足を背景に約3割の法人が外国人材を既に受け入れているか、受け入れに関心を持っており、一定の需要があることが分かった。一方、住環境の整備やマッチングへの支援が不十分とする声が多く、支援体制の充実を図る。

 アンケートは初めて。現場の実態を把握するために昨年10~12月に行い、農業法人303社のうち、140社から回答があった。外国人材の受け入れについては「現在受け入れ中」が12社、「今後、検討を予定」が20社となった。既に検討を始めている法人などを合わせると、38社が外国人材の活用に前向きな考えを示した。

 各法人が受け入れ中の外国人は計53人。国籍別ではベトナムが23人と最も多く、ミャンマー16人、中国9人と続いた。従事内容は畜産が最多の29人で、次いで菌茸類(マッシュルームを含む)が18人となった。コメや果樹、花卉(かき)は1~3人にとどまった。

 外国人材の受け入れに必要な支援や課題についての質問(複数回答)では、受け入れ制度の情報提供をはじめ、人材マッチングや住まいの確保を挙げる法人が多かった。県は本年度、労務管理などに関する生産者向けの勉強会や相談会を開催。農繁期の異なる他県や人材派遣会社と連携し、農繁期に外国人材を受け入れる「リレー派遣」を試行するほか、Wi―Fi(ワイファイ)や家電の設置といった住環境の整備費用を助成する。

 高齢化や後継者不足で生産現場の人手不足は深刻化しており、外国人材の活用は課題解決の一手として期待が高い。県農業経営・所得向上推進課は「今後3年かけてリレー派遣の評価・検証を行い、人手確保対策の一つとしたい」としている。

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